パナソニックは,未来に向けた製品のコンセプトモデルとして,レーザーを用いた照明器具などを,同社デザイン部門のイベントである「Panasonic Design展」にて展示している(イベントHP)。
この展示会は,これからの商品づくりやコンセプトづくりを加速するために,同社各カンパニーの若手デザイナーが取り組んだ,未来的なデザインのプロトタイプを展示するもの。未来のテクノロジーの進化と人との関係をデザインすることをテーマとした。
展示は3つのコンセプトで行なわれる。その一つ「Electronics Meets Crafts:」は,京都の伝統工芸とのコラボレーション。次の100年に向けたデザインとして,陶器や竹製品などとLEDランプの組合せた照明器具などを展示する。
「Next Humanity」は東京の未来に焦点を当てた,2030年の家電のコンセプトを紹介。プロジェクターを用いてユーザーに様々な提案を行なうインタラクティブな照明器具や,様々なセンサーでユーザーの心身の健康状態を見極め,LEDライトで感覚的に伝える装置,テーブル上で調理可能な器具などを紹介する。
「WAVING THE LIGHT」ではレーザーを用いた照明器具のコンセプトモデルを展示。これはRGBの可視光レーザーによる様々な色の光を,幾何学模様を編むようにフレームに巻いた光ファイバーを使って照明するもの。朝焼けから日没までの空の色をイメージしたという,雅な色使いが目を引く作品となっている。
コンセプトモデルであるため詳細な仕様は明らかにしていないが,光源にはRGBの半導体レーザー(出力50~70mW)を使用し,被覆から光が漏れるようにデザインされたφ0.9mmの光ファイバーに入射することで,光ファイバー自体が光る糸のように見える。
ガラス製コアの光ファイバーは1本あたり長さ27m。コンセプトモデルではこれを16本使っている。ファイバーからの漏れ光によりレーザーは10m程度で減衰するので,光ファイバーの両端からレーザーを入射することで明るさの均一性を保っているという。
このコンセプトモデルは光ファイバーを巻くフレームをユニット化するアイデアを盛り込んだ。大小2つの照明器具のうち,大きい方は7ユニット,小さい方は1ユニットで構成されている。このユニット化により,家庭から店舗,公共施設まで,空間の大きさに合わせて照明器具を構成できる。
同社では,レーザー光の直進性と高輝度時における高効率性が,未来の照明器具としてのアドバンテージになるとしている。また,より細く曲げに強い光ファイバーが実現すれば,布のように編み込むことで面発光デバイスにもなるなど表現の可能性に幅があることから,今後は実用化も視野に入れた開発を進めたいとしている。
「Panasonic Design展」は,東京ミッドタウン(東京・六本木)で開催する「Tokyo Midtown DESIGN TOUCH 2017」内にて,11月1日~5日まで行なわれている。
【訂正】記事公開時,ファイバー径を9mmとしていましたが,0.9mmの誤りでした。訂正いたします。