秋田県立大など、イネの花粉形成に必須の遺伝子CAP1の同定に成功

秋田県立大学、農業生物資源研究所および国立遺伝学研究所は、花粉形成過程で特異的な働きをするイネ遺伝子の同定に成功しCOLLAPSED ABNORMAL POLLEN1(CAP1)遺伝子と命名した。

栽培イネのゲノムに含まれる約3万2千個の遺伝子のうち、2万以上の遺伝子が花粉を含む葯で発現するといわれているが、花粉形成過程における機能が解明された遺伝子は限られていた。

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被子植物の花粉は、栄養細胞のなかに2つの精細胞がとりこまれた、3細胞からなる特殊な構造をしている。CAP1遺伝子は、精細胞が分裂する前の二細胞花粉期の葯で最も強く発現している。遺伝子機能が欠損した花粉は、ほとんどの細胞成分が失われて花粉外壁(エキシン)だけの構造になり、花粉管伸長能が失われる。花粉形成以外のイネの成長には全く影響しないことから、CAP1の花粉特異的な機能が明らかとなった。

イネCAP1タンパク質は、植物のL-アラビノキナーゼとよく似ており、細胞壁代謝の過程で生じるL-アラビノースを再利用のためリン酸化している可能性が示唆された。イネcap1変異体では、アラビノースが再利用されずに花粉内に異常に蓄積する、あるいは花粉の細胞壁代謝が阻害されて崩壊すると予想される。遺伝子発現パターンがシロイヌナズナのアラビノキナーゼ様遺伝子の1つと酷似することから、CAP1機能が被子植物で広く保存されており、花粉形成過程において非常に重要な役割を果たすことが示唆された。

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