理研、 亜鉛トランスポーターZIP9が免疫細胞のシグナル伝達に関与することを発見

人が生命を維持するためには微量の金属が必要で、特に亜鉛は細胞内で情報を運ぶ「細胞内シグナル伝達因子」としても機能する。しかし、亜鉛がどのようにシグナル伝達に関わっているかは十分に理解されてきておらず、また免疫細胞であるB細胞が機能するためには亜鉛が重要だという説があるが、これも実験的に証明できていなかった。

そこで研究グループは、細胞小器官の1つゴルジ体にある、生体内で亜鉛輸送を担う「亜鉛トランスポーター」という膜タンパク質「ZIP9」に着目し、ニワトリのB細胞に由来する培養細胞「DT40細胞」を用いて亜鉛とシグナル伝達の関係を調べた。その結果、ZIP9が細胞外からの刺激に応じて、ゴルジ体から細胞質へ亜鉛を放出し、B細胞抗原受容体(BCR)のシグナル伝達を活性化する重要なタンパク質であることを発見した。

image

亜鉛がT細胞にとって重要であることは知られていたが、B細胞が正常に機能するためのシグナル伝達に関わる金属元素としても重要であることが明らかになり、亜鉛と免疫機能の関係の理解がさらに広がる。細胞内シグナル伝達因子として働く亜鉛の詳細な機能の解明や、亜鉛トランスポーターの機能不全に起因するさまざまな療法の開発の進展につながる成果。

詳しくはこちら。