月刊OPTRONICS 特集序文公開

冷却原子型量子コンピューターの発展

著者:京都大学 高橋義朗

1.はじめに

1.1 冷却原子型量子コンピューター開発の概要

冷却原子型量子コンピューターの研究開発は,大規模な誤り耐性量子計算機(Fault Tolerant Quantum Computing, FTQC)の実現に向けて,驚異的なスピードで進んでいる。6100原子からなる大規模な系の準備,高忠実度ゲート操作の実現,回路途中での測定の実証,繰り返し誤り訂正の実証,連続的な原子供給の実現などが,ここ数年で達成されてきている。また,従来,アルカリ原子を用いた方式での研究が主流となっていたが,多くのユニークな特徴を備えた希土類原子のイッテルビウム原子を用いてFTQC実現を目指す研究開発が世界各国で,アカデミア及びスタートアップ企業において,活発に展開されるようになってきている。我が国においても京都大学におけるイッテルビウム原子の量子計算・量子計測・量子シミュレーション技術を基に量子コンピューター開発を行うYaqumoが設立され,冷却原子型量子コンピューターの研究開発が急ピッチで進められている。
 本稿では,急速に発展する冷却原子型量子コンピューターの研究開発について,その物理的基礎の解説から始めて,最近の発展について解説し,最後に,世界的な開発状況について触れる。

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