月刊OPTRONICS 特集序文公開

VCSELトランシーバーの最新動向

著者:古河電気工業㈱ 那須秀行

1.はじめに

図1  1060 nm イントラキャビティメタルアパーチャーVCSELの概略断面図

近年,データセンターにおける人工知能(Artificial Intelligence, AI)および機械学習(Machine Learning, ML)技術の普及が目覚ましい。それに伴い,AI/MLの帯域幅は2年ごとに約35倍に拡大している1)。一方で,データセンターの電力需要は2023年から2030年にかけて15%の年平均成長率になると予測されている。それ故,データセンター内の光インターコネクトの広帯域化および省電力化が大きな課題となっている。面発光レーザー(Vertical Cavity Surface Emitting Laser, VCSEL)は,低い駆動電流で動作するために,省電力特性に優位である。また,VCSELは,ドライバーICと共に基板上にボンディングされ,ワイヤボンディングで接続できるために,簡素な実装と簡単な工程を実現でき,コスト面でも優位である。これまで,850 nm GaAs VCSELとMMF(Multimode Fiber)を組み合わせた光インターコネクトは,データセンター及びハイパフォーマンスコンピューティングに広く採用されてきている。このVCSELインターコネクトでは,MMFのモード分散により伝送距離が数百m以内に制限される。しかし,AI/MLで必要とされる伝送距離は数十m以内であり,十分に適用できるため,VCSELトランシーバーが主に用いられている。現在,標準化されたSFF(Small Form Factor)を用いた800 Gb/sプラガブル光トランシーバーの導入が進んでおり,例えば,QSFPDD800では,8チャンネルの50 Gbaud PAM4(100 Gb/s)信号を並列に信号伝送する2)。現在,さらなる広帯域を実現するために,1.6 Tb/sプラガブルトランシーバーの開発が進んでおり,チャンネル当たり100 Gbaud PAM4(200 Gb/s)が必要とされる。そのため,広帯域化に優位とされる変調器を用いたPIC(Photonics Integrated Circuit)の採用が盛んに検討されている。変調器によって1.31 μm帯のSM(Single Mode)の光信号を生成し,SMF(Single Mode Fiber)を用いて伝送することで,データセンター内の全ての伝送距離をカバーすることができる。しかしながら,低コスト及び省電力の観点からVCSELトランシーバーは依然として魅力的である。サーバの実装形態の観点では,電気伝送損失を顕著に抑制し,DSPを削除することで,広帯域化及び省電力化を実現するCPO(Co-Packaged Optics)の導入が進むことが期待されている。PICを用いた小型CPOトランシーバーについて多くの報告があるが,VCSELのCPOへの適用も期待される。本稿では,100 Gbaud以上の実現を目指したVCSELの開発動向と,VCSELを用いたCPOトランシーバーの動向について解説する。

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