月刊OPTRONICS 特集序文公開

深層強化学習による広帯域メタマテリアル構造の最適化

著者:東京農工大学 久保若奈

1.はじめに

メタマテリアルは電磁波と相互作用する人工材料である。メタレンズや放射冷却材への応用展開に加え,可視域や赤外域で駆動する光電子デバイスへの適用を模索する研究も多数報告されている。たとえば,光検出器や太陽電池,光変調器へのメタマテリアルの適用である。これらの光電デバイスにメタマテリアルを適用すれば,大きな吸収断面積を有するメタマテリアルによってより多くのエネルギーを得ることができ,発電特性の向上が期待できる。筆者もメタマテリアルを熱電変換に適用し,世界で初めて均一な熱輻射環境における熱電発電を提案・実証した。また本技術が,狭小空間の冷却を可能にするメタマテリアル非放射冷却として展開できることを見いだした。

太陽電池や放射冷却にメタマテリアルを適用する場合,太陽光や熱輻射エネルギーが広帯域なスペクトルを有するため,メタマテリアルは広帯域吸収性を備えるのが望ましい。一方,一般にメタマテリアルは狭帯域吸収性を示す。そのため,狭帯域吸収メタマテリアルでは入射光の一部しか吸収することができず,デバイス特性の向上は限定的になる。こうした背景から,広帯域スペクトルを有する光源を効率よく吸収するため,様々な広帯域メタマテリアルが提案・作製されてきた。その一つがハイパーボリックメタマテリアル(HMM)である。その広帯域吸収特性のため,放射冷却やイメージングなどに適用する例が報告されている。筆者が開発した,熱輻射を吸収して熱電発電するメタマテリアル熱電変換デバイスにおいても,電極にHMMを導入すれば,さらなる発電特性の向上が期待できる。ただし,HMMを利用する際は,ターゲットとなる環境温度の熱輻射スペクトルにHMMの吸収特性を一致させる必要がある。

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