光技術者として日々の研究にいそしむ著者が,これまでの経験や日常を通じて感じる光に関するあれこれを,肩ひじ張らずに綴る人気のコラム。その飄々としたキャラクターも魅力の一つです。

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写真の魔力

写真の魔力

志望していた大学の受験に落ち,僕の浪人が決定したその日の夕方,親戚の叔母さんから一本の電話がかかってきた。それは事もあろうに大学合格のお祝いの言葉だった。新聞の夕刊に掲載された合格発表風景の写真に僕が写っているというのだ […]
光の旅はどんな旅?

光の旅はどんな旅?

僕が住んでいる街は東京都心を起点とする某有名私鉄沿線ではあるけれども,かなり外れのほう,はっきり言って田舎である。夜は明かりが少ないから,星がそれなりによく見える。帰宅時に駅を降りて家まで向かう途中には,星空を見上げて歩 […]
暗闇に光

暗闇に光

子供の頃は目の前に広がる景色が僕の世界の全てだった。空一面を暗い雲が覆ったりしたときには,晴れ間というものがこの世から駆逐され,二度と戻ってこないのではないかと心配したものである。そんな心配で心が絶望的に真っ暗になってし […]
消える魔球もいつの日か

消える魔球もいつの日か

かつて,テレビで「スポ根(スポーツ根性)もの」と呼ばれる番組が流行っていた時代があった。「スポ根もの」とは,主人公が打ち込むスポーツの道で信じ難いほどの根性で数々の試練を乗り越えていくというお決まりのストーリーの番組の総 […]
カメラ遍歴

カメラ遍歴

僕が初めて手にしたカメラは父が持っていたパールⅣというフイルムカメラだ。カメラボディ上部のボタンを押すと蓋がパカリと開いて蛇腹胴のレンズが飛び出し,カメラとして機能する仕組みだ。一眼レフにはかなわないものの,上等なレンズ […]
青い瞳を巡る謎

青い瞳を巡る謎

いつのことだったか,こんなことを言われたことがある。「瞳の色が茶色の人は移り気なんだって。そして,あなたの瞳の色は茶色。」特に何か抜き差しならぬ状況であった訳ではなく,普通の雑談の時であったことを断っておく。それはともか […]
太平燕 ─春雨はなぜ透明なのか─

太平燕 ─春雨はなぜ透明なのか─

 初めての熊本は,あわただしい日帰り出張の旅だった。事前に現地に住む知人からメールでお勧めの食べ物をいくつか教えてもらっていて,その中に「太平燕」という食べ物の名前があった。なにやら目出たそうでもあり,そして謎めいている […]
ハノイの混沌 ─光の交差点─

ハノイの混沌 ─光の交差点─

ハノイに行ってきた。ベトナムに行ってみたいという妻と,カンボジアのアンコールワットをぜひ見たいという僕との折衷案として,限られた休暇の前半をカンボジア,後半をベトナムという旅程を組んだのだ。
幻のトリコロール

幻のトリコロール

子供の頃,僕はトリコロールと言うのは,なにやら素敵な西洋菓子の名前だとばかり思っていた。一体どんなロール菓子なのか,ずっと気にかかっていた。カステラ生地でたっぷりの生クリームを巻いた豪華なロールケーキだろうか。それとも, […]
愛しのホログラフィー

愛しのホログラフィー

ホログラフィーというのは光技術の中でも長きにわたって高い人気を維持するスターの一つである。その人気の秘密は何と言ってもリアルな立体像を再生できるという点に尽きるだろう。これによって,多くの研究者がホログラフィーに魅せられ […]