めくるめく印象派 僕がまだ子供の頃,父がなぜだか西洋絵画の全集を買い込んだ。それは古典から現代に至るまでの代表的な絵画が画家別に分冊された立派なもので,我が家のリビングに鎮座することとなった。ずらりと並んだ背表紙には有名であろう画家たちの […] 2018年03月26日 ひかりがたり ひかりがたり 第60話 著者:月谷昌之介
X線を越えるもの 幼稚園の頃,体が小さくて馬鹿にされたのを見返すために木から飛び降りたら,着地の時に手をついて右肘を脱臼した。脱臼と言っても関節が変形してしまうほどの重症で,外科でギブスをはめられた後,夏の間,僕はプロ野球選手も通っていた […] 2018年02月22日 ひかりがたり ひかりがたり 第59話 著者:月谷昌之介
ブルーライトカットと言われても 先日,夜になって家の自室のドアを開けたら,暗い部屋の奥で見慣れぬ二つの青い光が点灯していた。一見,電気製品のパイロットランプのようにも見える。最近ではLEDランプが溢れていて,家でもそこいらじゅう赤や青の光が光っているか […] 2018年01月17日 ひかりがたり ひかりがたり 第58話 著者:月谷昌之介
いつのまにか積丹ブルー 北海道の形をエンゼルフィッシュに見立てると日本最北端を擁する宗谷半島が背びれ,下に三角形に尖った日高地方が腹びれ,そして函館を含む本州に近い方が尾びれとなる。尾びれの付け根の上側,日本海にコブのように飛び出している部分は […] 2017年12月12日 ひかりがたり ひかりがたり 第57話 著者:月谷昌之介
日陰?日影? 強い陽射しの中を,眉間にしわを寄せて歩いている。日光を遮るものは全くなく,暑さで頭もぼうっとしてきた。こんな時には,「女神様が現れて快適にしてくれたらいいのに」などと,ありもしないことを願ってしまうのである。さて,そんな […] 2017年11月01日 ひかりがたり ひかりがたり 第56話 著者:月谷昌之介
サングラス 子供の頃,サングラスをかけている人は悪い人なのだと,かなり強固に信じていた。もしもサングラスをかけたおじさんに「坊や」などと声をかけられたら,一目散に逃げるのだと心に決めていた。(実際そんな場面は無かったが)。それだけで […] 2017年10月04日 ひかりがたり ひかりがたり 第55話 著者:月谷昌之介
きらり 「きらり」という言葉は妙に人を惹きつけるらしい。実際には,「きらりと光る〇〇」とか,「きらりと輝く〇〇」というような使い方が普通だ。「きらりと光る朝露」だとか,「きらりと光る涙」なんていうフレーズは,ありふれてはいるけれ […] 2017年09月22日 ひかりがたり
揺らめく光─デルフトの風景─ ヨハネス・フェルメールという画家が,今やブームというくらいの大人気である。ブームの原動力となる作品といえば「真珠の首飾りの少女」だろう。この絵については,「輪郭線がなく反射光のみで表現された真珠」とか,「みずみずしい唇」 […] 2017年08月24日 ひかりがたり ひかりがたり 第53話 著者:月谷昌之介
空の上のブロッケン 飛行機に乗るときに座席をどこに確保するか,ということは旅の快適性を左右する重大な問題だ。景色の見える窓側か,トイレなどに立ちやすく片側が解放されれている通路側か,はたまた少しでもエンジン音が少ない翼の前方席を何が何でも確 […] 2017年07月12日 ひかりがたり ひかりがたり 第52話 著者:空の上のブロッケン
タイムトンネル 飛行機に乗るたびに,僕は地上の人とどれだけ時間の進みが異なるのだろうと考えてしまう。アインシュタインの特殊相対論によれば,たとえば東京−札幌を飛行機で往復すると,地上の人と比べておよそ2×10–9秒程度時間の進みが遅くな […] 2017年06月14日 ひかりがたり ひかりがたり 第51話 著者:月谷昌之介