めくるめく印象派

僕がまだ子供の頃,父がなぜだか西洋絵画の全集を買い込んだ。それは古典から現代に至るまでの代表的な絵画が画家別に分冊された立派なもので,我が家のリビングに鎮座することとなった。ずらりと並んだ背表紙には有名であろう画家たちの名前が記されていたが,当時の僕が知っていた名前といえば,せいぜいピカソくらいのものだった。

さて,ある時,僕は暇に任せてその中の一冊を取り出してページを開いてみた。そこには,森の中のピクニックでくつろいでいるらしき男女が描かれているのだが,髭を生やした二人の紳士は黒い服にネクタイをつけているにもかかわらず,それに寄り添う女性はなんと全裸でこちらを見ている。それを見た瞬間,生まれて初めて感じる未知の力が僕を高揚させた。

この続きをお読みになりたい方は
読者の方はログインしてください。読者でない方はこちらのフォームから登録を行ってください。

ログインフォーム
 ログイン状態を保持する  

    新規読者登録フォーム

    同じカテゴリの連載記事

    • 蝉が見る夏の光 納谷ラボ代表 納谷昌之(なや まさゆき) 2021年10月06日
    • 暗室のアクシデント 納谷ラボ代表 納谷昌之(なや まさゆき) 2021年09月07日
    • 鵜の目鷹の目 納谷 昌之(なや まさゆき) 2021年08月02日
    • やっぱり百聞は一見に如かず 納谷 昌之(なや まさゆき) 2021年07月07日
    • 白の効能 納谷 昌之(なや まさゆき) 2021年06月22日
    • トンネルの向こう 納谷 昌之(なや まさゆき) 2021年05月12日
    • 明らかになるということ 納谷 昌之(なや まさゆき) 2021年04月05日
    • トイレに咲いた赤い薔薇 月谷昌之介 2021年03月17日