─御社におけるフォトニクス製品の現状と今後をお聞かせいただけますか
我々は通信プラットフォームの変化に対応した製品を開発してきました。光ファイバーから,波長分割多重向けのポンプレーザーや光アンプを開発してきています。また,日本発の技術として東京大学の菊池和朗先生が提唱され実用化に進んだデジタルコヒーレント伝送向けに波長可変レーザーも開発してきています。当社の波長可変レーザーは長距離に対応するため,高出力であるのが特長の一つになっています。
今後も次世代通信ネットワークを支えるデバイス開発を続けていきますが,先ほどのIOWN構想もその一つで,シリコンフォトニクス用デバイスや新機能光ファイバー,それに光源の開発があります。
このうち,新機能光ファイバーは空孔コアファイバーです。このファイバ ーは光が媒体コアではなく空気コアに閉じ込められているので,従来のガラスファイバーに比べて伝搬速度が3割くらい速く,超低遅延・低損失のほか,曲げ耐性にも優れた特性を持ちます。
光源に関しては,この3月にCo-Packaged Optics(CPO)向け外部光源を開発したことを発表し,今年のOFCでも展示しました。この外部光源は光トランシーバ用に標準化されているQSFP(Quad Small-Form Factor Pluggable)外部光源を筐体のケージに挿入することで動作するホットプラガブルに対応し,8芯の偏波保持ファイバーコードを用いたピグテイルによりCPO用光トランシーバへ直線偏波を供給できるもので,ファイバー単発にはMPOコネクタがついています。
また,8芯それぞれの光源波長には2つのオプションがあり,1311 nm(Oバンド)またはCWDM(Corse Wavelength Division Multiplexing)に準じた4波長(1271 nm,1291 nm,1311 nm,1331 nm)を2波ずつ出力することができます。動作ケース温度範囲は0℃~55℃,チャンネル当たりの光出力は100 mW以上となっています。
─加工用ファイバーレーザーの開発についてお聞かせください
当社では加工用ファイバーレーザーを作るというだけでなく,お客様に対してアプリケーションも含めて提案しているのも特長です。当社には自動車部品事業がありますので,自動車向けの用途を開拓してきましたし,そういう意味では,早い段階で千葉事業所にアプリケーションラボを設置できたのは良かったと思います。このラボは我々が開発したレーザーを試すという狙いもありますが,お客様の立ち合いのもとで用途を開拓していくのを目的とした施設になっています。
当社のファイバーレーザーはサークル分岐であったり,ラインビームであったり,リングや四角といった形状のビームパターンを作り出す,独自方式のビームモード制御と高いビーム品質を持っているのが特長です。ビームモード制御の最適化によってスパッタ低減化にもつながります。