SDGsに貢献する光技術となるか? ─太陽光励起レーザーの現状とその可能性

著者: admin

◆大久保 友雅(オオクボ トモマサ)
東京工科大学 工学部機械工学科 准教授
平成13年 東京工業大学 理学部応用物理学科 卒業
平成15年  東京工業大学大学院 総合理工学研究科創造エネルギー
専攻修士課程修了
平成18年  東京工業大学大学院 総合理工学研究科創造エネルギー
専攻博士課程修了 博士(理学)
平成18年 東京工業大学 統合研究院地球開拓部門 特任助手平成19年 東京工業大学 理工学研究科 機械物理工学専攻 助教平成26年 東京工科大学 メディア学部 講師
平成27年 東京工科大学 工学部機械工学科 講師
平成30年  東京工科大学 工学部機械工学科 准教授
(~現在に至る)

SDGsやカーボンニュートラルの見地から,太陽光励起レーザーが改めて注目を集めている。その名の通り,電力を使わずに太陽光のみで励起するこのレーザーは,新たなエネルギー創出技術として期待が高い。

そこで今回,国内における太陽光励起レーザー研究の第一人者である東京工科大学准教授の大久保友雅氏に,この技術の概要と研究の現状について話を伺った。

オンライン取材が続く中,今回は久しぶりの現地取材が実現した。当日は絶好の天候に加え,最高出力を更新する瞬間に立ち会う幸運にも恵まれた。

青空に学生たちの歓声が響き渡る中,太陽光励起レーザーに未来の可能性を感じるとともに,改めて研究の面白さを感じる取材となった。その様子をご覧頂きたい。

─先生のご研究と太陽光励起レーザーについて紹介してください
太陽光励起レーザーの概要(提供:大久保氏)
太陽光励起レーザーの概要(提供:大久保氏)

太陽光励起レーザーの研究での私達のキャッチフレーズは「太陽とレーザーでサスティナブルな社会を!美しい地球を未来に!」です(笑)。研究としては他に,新しいレーザー加熱試験方法の開発やレーザー加工のシミ ュレーション,ちょっと毛色の違うところでは瞳孔挙動解析といったこともしています。

太陽光励起レーザーの構造は非常にシンプルです。太陽の動きを自動で追尾する装置に載っていて,まず,フレネルレンズで大きな面積から太陽光のパワーを収集する主集光系と呼ぶ系で集光します。ですが,実際に太陽光を吸収させる必要のあるレーザー媒質は非常に小さいので,これだけでは十分に集光できません。そこで,我々が太陽光キャビティと呼ぶ太陽光が内部で多重反射するような箱の中にレーザー媒質を置き,そこにフレネルレンズで集めた光を入れ,内部で反射させながらレーザー媒質に太陽光を吸収させてレーザー発振を実現するという構造になっています。

現在エネルギー源として主役の化石燃料は,エネルギ ー密度が高く燃やせばたくさんのエネルギーが出ますし運搬も容易ですが,枯渇や温室効果ガスの問題があります。一方,太陽光のエネルギーは事実上無尽蔵で環境にも優しいわけですが,問題点としては不安定でエネルギ ー密度が低いということがあります。曇れば使えませんし,人に当たってもせいぜい暖かい程度です。こうした弱点を何とかして,太陽光励起レーザーを実用化しようとする動きが最近色々と出てきています。

大久保研究室の太陽光励起レーザーの実験の様子
大久保研究室の太陽光励起レーザーの実験の様子

例えば気象の影響のない宇宙で太陽光をレーザーにして地上に照射し,地上の基地で電力に変換すれば,不安定という弱点が一つ無くなります。また,マグネシウムは燃やすとエネルギーを出して酸化しますが,この酸化マグネシウムに太陽光励起レーザーを照射して還元することができれば,マグネシウムをエネルギーキャリアとしたエネルギーサイクルができます。さらに,現在の太陽電池は太陽光の波長を全て電気に変換することは困難ですが,特定の波長だけを変換する太陽電池によってレ ーザー光を高効率に変換する,単色光光電変換というアイデアもあります。

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