半導体レーザーに見る光技術のイノベーション ─日米の違いがもたらしたものは

◆清水 洋(シミズ ヒロシ)
一橋大学大学院商学研究科・イノベーション研究センター・准教授

1973年横浜市生まれ。2007年ロンドン・スクール・オブ・エコノミックス・アンド・ポリティカルサイエンス(Ph. D)。アイントホーヘン工科大学ポストドクトラルフェローを経て,2008年9月より一橋大学イノベーション研究センター専任講師,2011年4月より現職。『ジェネラル・パーパス・テクノロジーのイノベーション −半導体レーザーの技術進化の日米比較』にて,第59回日経・経済図書文化賞を受賞。

「スピンアウトは本当にイノベーションを促進するのか−」。一橋大学准教授の清水洋氏は著書「ジェネラル・パーパス・テクノロジーのイノベーション」の中でこう問いかける。

半導体レーザーで繰り広げられた熾烈な開発競争において,スピンアウトの有無がその結果に大きく作用したという氏の主張は,膨大な時間を掛けて行なわれた聞き取り調査によって裏付けられていく。

その数は国内外の半導体レーザーの研究者を中心に延べ178人を数える。そこから見えてきたのは,時に僅かな差が勝敗を決した研究者たちのドラマでもある。

本書は半導体レーザー開発の過程において日米で起きていた舞台裏を,技術的背景も含めて丁寧に解き明かしている。経営学のテキストとしてはもちろん,新たなイノベーションの指針として,また開発史の読み物としても貴重な一冊である。

今回は著者の清水氏に,本書を通じて訴えたかったこと,また日本の現状と将来に描くべきヒントを聞いた。

この続きをお読みになりたい方は
読者の方はログインしてください。読者でない方はこちらのフォームから登録を行ってください。

ログインフォーム
 ログイン状態を保持する  

    新規読者登録フォーム

    同じカテゴリの連載記事

    • 光プラスαの技術で水中ビジネスを加速させる! ㈱トリマティス 代表取締役 島田雄史 氏 2024年03月12日
    • 学術と産業の架け橋となり,更なるイノベーション創出を (一社)レーザー学会 会長 久間和生 氏 2024年01月15日
    • 芽から幹への成長が期待される面発光レーザーの産業化 東京工業大学 栄誉教授/元学長 伊賀 健一 氏 2023年12月07日
    • 日本が実用化の先導役となるか!?注目のペロブスカイト太陽電池開発動向 桐蔭横浜大学 宮坂 力 氏 2023年10月06日
    • パワー半導体とイメージンセンサーの両輪で挑んだ日本市場の一年とは オンセミ 日本法人代表取締役 林 孝浩 氏 2023年09月29日
    • 眼に装着する究極のディスプレー─ホログラムが可能にする未来とは 東京農工大学 高木 康博 氏 2023年09月27日
    • 光エレクトロニクスの未来 ─若手研究者への技術伝承がカギ 名古屋大学 天野 浩 氏 2023年08月21日
    • 事業のフォーカスの中で,将来を見据えて盛り立てるのが研究の役割 古河電気工業㈱ 執行役員 研究開発本部長 藤崎 晃 氏 2023年08月18日