はじめに:レーザー航跡場加速の基本哲学と歴史的背景

1. はじめに

1.1 レーザー航跡場加速の基本哲学
図1 リビングストン図(from Ref.1))
図1 リビングストン図(from Ref.1)

この論文では,プラズマの中にどのようにして頑健な加速場を構築するのかについての考え方の骨格を述べる。真空(周りを金属か誘電体で覆われた)ではなく,プラズマを加速媒体として利用するアイデアは,絶縁破壊限界を越えて加速勾配を増加させる必要に迫られて始まった。これは強く組織化された物質(固体金属もしくは透電体)を用い,外部物質や磁場による確立された加速器物理の伝統的手法の危機を示している。

この危機は最近の(過去数十年の)リビンクストン図におけるエネルギー増加の鈍化に現れている(図1)。加速器のエネルギーの増加は最近指数関数的でなくなり,線形になっている(時間に対して,セミ対数グラフで描かれたリビングストン図において)。つまり,エネルギーの増加は新しい方法で実現されたのではなく,実装された装置の量の増加で実現されている。固体物質はその丈夫さにも関わらず,その本質的な弱さを露呈している。つまり,絶縁破壊を超えた場を加速に用いることが困難なのだ。これは,固体物質が量子力学的な束縛ポテンシャル(その強さもしくはエネルギーが〜eVであることで特長づけられる)によって作られているからである。一方,プラズマのように電離した物質は,粒子の運動エネルギーがeVよりずっと大きい特徴を持つ。

この続きをお読みになりたい方は
読者の方はログインしてください。読者でない方はこちらのフォームから登録を行ってください。

ログインフォーム
 ログイン状態を保持する  

    新規読者登録フォーム

    関連記事

    • レーザ加工の基礎の基礎【15】 積層造形⑴

      著者:Laser Technology Fountain 門屋輝慶 6. 積層造形 6.1 積層造形の概要 積層造形技術は,最近では3Dプリンターとして多くの人たちにも身近になってきた。例えば,金属加工は,古くから人類が…

      2026.09.15
    • カルビーの躍進

      著者:熟成考房舎 鴫原正義 やめられない、とまらない…と続く戦略 先の原油調達問題でのナフサ不足で騒がれた際に、スナック菓子のカルビーが思わぬところで大きな話題となっていました。企業としては品質や価格を守りながらさまざま…

      2026.09.12
    • 宇宙の見えないものをレーザー干渉計で探る

      著者:東京大学 道村唯太 1. 宇宙人に左右は伝わるか? この広い宇宙のどこかに知的な存在がいて,私たちと通信ができるとしたら,彼らと「右」や「左」という概念を共有することはできるだろうか。彼らには言葉は通じるが,画像を…

      2026.09.11
    • 殺菌・除菌・抗菌

      著者:熟成考房舎 鴫原正義 ミクロの世界への挑戦 COVID-19の騒ぎもだいぶ前のことになりましたが、その後もインフルエンザや、百日ぜき、はしかなどの感染症が思わぬ時期に流行を起こし、食中毒などの話題にも事欠きません。…

      2026.08.13
    • レーザ加工の基礎の基礎【14】 レーザ接合⑸

      著者:Laser Technology Fountain 門屋輝慶 5.16 レーザ溶接の魅力ある応用事例 ⑴原子力機器への応用 レーザの主な応用は,初期にはエレクトロ二クス部品など数100 Wの低出力の溶接であった。そ…

      2026.08.12

    新着ニュース

    人気記事

    編集部おすすめ

    • オプトキャリア