高輝度レーザーパルスを作り出すレーザー圧縮

2. 高輝度レーザーパルスを作り出すレーザー圧縮

1章のイントロダクションで述べたLWFA(レーザー航跡場加速)1)に対する基本要件のひとつは,超高速の高強度レーザーパルス圧縮(fs秒領域)を実現することである。タイミング良くチャープパルス増幅(CPA)技術5)が発明され,この要求を満たすことができた。このCPAの要求と実現に関する主なレビューは2)に与えられているので,ここでは繰り返さない。CPAはLWFAを実験的に実現するための主要な方法として開発され,LWFAと共に高強度場科学を推し進めた2, 6)

更に,3章で見るように,LWFAを衝突器へ適用するための要求仕様によって高強度レーザー技術は完全に新しい方向へと発展し,CAN(コヒーレント増幅ネットワーク)ファイバーレーザーシステム7)が発明された。これは,高ルミノシティ衝突器ビーム駆動装置8, 9)に必要な高繰り返し率・高効率輝度レーザーを実現するものであった。近年,高エネルギーLWFAのためには低密度の加速プラズマ(ないしは高振動数の駆動レーザー)が必要になった。プラズマ密度が低いほど,必要なレーザーエネルギーは高くなる(3章参照)。ナノ秒高エネルギーレーザーをフェムト秒への圧縮の新規な計画のために高エネルギーレーザーの圧縮技術の手法開発が促された一方,フェムト秒レーザーを単一サイクルレーザー領域へ(CPAを超えて数フェムト秒へ)さらに圧縮したいという欲求が生じた。

この続きをお読みになりたい方は
読者の方はログインしてください。読者でない方はこちらのフォームから登録を行ってください。

ログインフォーム
 ログイン状態を保持する  

    新規読者登録フォーム

    同じカテゴリの連載記事

    • レーザー加速器の医療応用の現状と将来/全体俯瞰と将来展望 2019年11月20日
    • レーザー航跡場加速のX線およびγ線源への応用
      レーザー航跡場加速のX線およびγ線源への応用 2019年10月25日
    • 超高エネルギー宇宙線加速 2019年09月10日
    • ゼプト秒サイエンス 2019年08月27日
    • イオン加速 2019年07月24日
    • 非光度パラダイムの高エネルギー加速に向けて
      非光度パラダイムの高エネルギー加速に向けて 2019年06月07日
    • 航跡場加速のスケーリング則 2019年05月28日
    • はじめに:レーザー航跡場加速の基本哲学と歴史的背景 2019年03月25日