レーザー加速器の医療応用の現状と将来/全体俯瞰と将来展望

 本連載は,近年進捗が著しいレーザー航跡場加速に関する包括的なレビューを翻訳したものである。原著者はレーザー加速のコンセプト提案者である田島俊樹氏,先駆的なレーザー航跡場加速実験を行なった中島一久氏,レーザー加速の実現に必須だったチャープパルス圧縮の発明者であるジェラルド・ムルー氏の共著である。
 2018年10月2日に発表されたノーベル物理学賞ではレーザーに関わる3氏の研究者が受賞,そのうちの一人が,ジェラルド・ムルー氏である。今日の高強度レーザーの礎がムルー氏によってもたらされていること,その功績に対して敬意を表したい。

9. レーザー加速器の医療応用の現状と将来

9.1 導入

物質科学と技術はLWFAの応用のひとつとして非常に重要である。本章では医療の用途に焦点を当てる。

LWFA電子の直接応用として,LWFA超短電子パルス(加速器の電子バンチと比較)を超高速放射医学へ利用することが考えられる。Crowell1)らと同様にBrozek-Pluskab2)らはLWFA電子を超高速放射線分解に適用した。Richter3)らは生きた細胞にLWFA生成電子を照射した。LWFA4〜6)によるベータトロン振動からのX線放射は,位相差撮像等の診断にも使用される7)。LWFA電子を直接的に治療へ利用する術中放射線療法(IORT)8)も考えられる。このアプローチは電子源がコンパクトである長所を手術のために用いる。手術中の腫瘍組織を切開して窓を開けることにより電子の高線量爆露による表面組織の損傷を避けることができる8)

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