東北大学は、半導体先端パッケージングと異種チップ集積技術の研究開発を推進するコンソーシアム「T-CHIPS」が発足したと発表した(ニュースリリース)。プロセッサーやメモリ、シリコンフォトニクスチップなど、異なる機能を持つ半導体チップを高密度に集積する技術を対象に、産学連携による研究開発成果の社会実装と半導体後工程の技術基盤強化を目指す。
生成AIや高性能計算システムの普及に伴い、半導体には演算性能の向上だけでなく、データ転送の高速化や消費電力の低減が求められている。一方、半導体チップの微細化だけで性能を高めることには技術的・経済的な制約があり、異なる機能を持つ複数のチップを一体化する先端パッケージングや3D集積技術が重要になっている。
こうした技術の一つが、半導体チップを積層したり、異なる種類のチップを組み合わせたりするヘテロ集積である。プロセッサーやメモリに加え、光信号を処理するシリコンフォトニクスチップ、微小な機械構造を持つMEMSなどを集積することで、単一の半導体チップでは実現が難しい機能や性能を持つデバイスの開発につながる可能性がある。
東北大学は現在、民間企業7社と3大学と共同で、JSTの「次世代エッジAI半導体研究開発事業」における「エッジAI半導体を実現する3Dヘテロ集積技術」プロジェクトを推進している。研究代表者は、同大学大学院医工学研究科の田中徹教授が務める。

今回発足したT-CHIPSは、このプロジェクトに参加する東北大学の研究者らが中心となり、産学・異業種連携の拡大を目指す組織である。研究成果の企業への橋渡しに加え、産業界の技術ニーズを研究開発に反映させるため、共同研究や情報交換などを通じた幅広いネットワークの形成を進める。
東北大学ではこれまで、3Dメモリや高帯域幅メモリ(HBM)の基盤となる技術、MEMSとそのウェーハレベルパッケージングなどの研究開発を進めてきた。現在も、半導体先端パッケージングや異種集積技術の研究体制を整えており、これらの技術基盤を生かした研究開発を推進している。

また、東北大学青葉山キャンパスに立地する3GeV次世代放射光施設「NanoTerasu」を活用した高度な分析に関する共同研究も進めている。
シリコンフォトニクスを含む異種チップ集積は、今後の光電融合技術や高性能な半導体システムの実現に関係する技術領域として注目される。ただし、今回の発表は研究開発コンソーシアムの発足が中心であり、新たな光集積デバイスの開発や性能実証を発表したものではない。
東北大学は今後、T-CHIPSとの連携を通じて、企業や研究機関による共同研究や技術交流を促進し、半導体後工程分野の研究開発から産業化までを支えるエコシステムの構築を目指す。





