情報通信研究機構(NICT)は、LEDチップを上面から光を取り出す「トップエミッション型」の深紫外LEDを開発した。電極と光取り出し部に独自の素子構造を設け、従来構造の深紫外LEDより約35%高い電力変換効率を実証した(ニュースリリース)。光を効率よく取り出しながら、製造工程も簡略化できる構造である。

図 今回開発した“トップエミッション型”深紫外LEDの模式図
深紫外LEDは、水や空気の殺菌・浄化、食品衛生などへの応用が期待され、水銀ランプに代わる、環境負荷の低い小型光源として注目される次世代の半導体光源である。従来の深紫外LEDで採用されている「フリップチップ型」は、発光した光を基板側から取り出す。このため、LEDチップを上下反転させ、配線や支持のための基板に精密に位置合わせして接合する必要があり、製造工程が複雑になる。また、半導体と基板の屈折の違いなどにより、光の一部が素子内部に閉じ込められ充分に取り出せない課題もあった。
チップ上面から直接光を取り出せれば、製造工程の大幅な簡略化とコスト低減が可能になり、基板を通さずに光を外へ出せる。しかし、電流を流すために必要なp型電極やp型半導体コンタクト層が深紫外光を強く吸収する。このため、電流を効率よく流すことと、上面から光を取り出すことの両立が難しかった。
研究グループは、p型電極とその直下にあるp型半導体コンタクト層を、同心円状のマイクロリング構造に微細加工した。これにより、電流を効率よく供給しながら、上面での光の吸収を抑えた。
さらに、電極の開口部に、酸化ハフニウムを用いたナノ光取出し構造を形成した。この構造は、光の全反射を抑え、外部へ放射される光の角度範囲を広げた。
開発したLEDの発光波長は275nmで、電力変換効率は6.5%に達し、外部量子効率は7.5%だった。従来構造との比較では、良好な電気特性を維持しながら光出力が向上し、電力変換効率が約35%高くなった。
今回実証したのは、上面からの光取出しと高い変換効率の両立である。製造工程の簡略化によるコスト低減は、今後の実用化で期待される効果となる。NICTは研究開発と社会実装に向けた取り組みを進め、殺菌・浄化をはじめ、医療、半導体製造、情報通信などへの幅広い展開を目指す。





