富士通,大容量光伝送システムで市村産業賞を受賞

富士通は,市村清新技術財団が主催する「第57回(令和6年度)市村賞 市村産業賞」において「通信ネットワークの電力効率向上に資する大容量光伝送システム」の開発業績が「貢献賞」を受賞したと発表した(ニュースリリース)。

同社が開発したテラビット光伝送システム技術,水冷技術,および光ネットワークモニタ技術により,光1波あたりの伝送容量を世界最大の1.2Tb/sまで引きあげる光伝送システムを実用化し,5G時代以降のICTを支える光バックボーンネットワークの大容量化と低消費電力化の実現に大きく貢献したことが評価されたという。

テラビット光伝送システム技術は,世界初の140ギガボー(Gbaud)の高速信号を伝送可能とするデジタル信号処理LSIと狭線幅波長可変レーザーを適用し,さらに送受信デバイスや光伝送路にて発生する波形歪を高精度に補償する技術を組み合わせることにより,世界最高となる1波あたり1.2Tb/sの大容量伝送を実現した。

また,スーパーコンピュータ「富岳」の開発および製造で培った知見を活かし,世界で初めて光伝送装置に水冷技術を適用し,伝送容量(Gb/s)あたりの消費電力が世界最小の120mWとなる低消費電力化を実現した。

さらに,ディープニューラルネットワークを応用したネットワークの特性,状態を精度よくモニタする技術を開発し,これをネットワーク設計,構築に活かすことでネットワーク全体の電力利用効率を向上する技術を確立した。

これらの技術は,同社の光伝送システム「1FINITY Ultra Optical System」を構成する「1FINITY T900シリーズ」に組み込まれており,通信事業者やデータセンター事業者などに採用されているという。同社は今後,さらに国内外に拡販し,AIをはじめとするビッグデータ処理の普及で急増するデータトラフィックに対応できる,レジリエントで環境負荷の低いネットワークインフラの構築に貢献するとしている。

なお,これらの技術には,NEDOの「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業」における成果の一部と,総務省委託研究「新たな社会インフラを担う革新的光ネットワーク技術の研究開発 課題Ⅰ 5Tb/s級高速大容量・低消費電力光伝送技術の研究開発 」,および情報通信研究機構(NICT)の委託研究「高スループット・高稼働な通信を提供する順応型光ネットワーク技術の研究開発」における成果の一部が含まれるという。

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