富士フイルムは,紫外線の中で最も長い波長をもつ最長波UVAがシミ・くすみを引き起こす一因であることを解明した(ニュースリリース)。
地表に届く紫外線は,波長の長さによってUVA(320~400nm)とUVB(280~320nm)に分類される。紫外線によって生じるさまざまな肌トラブルのうち,シワ・たるみは主にUVAによって,シミ・くすみは主にUVBによって引き起こされる。
しかし近年,シミ・くすみは,UVBだけでなく,UVAによっても引き起こされるという考え方に注目が集まっている。一方で,UVAがシミ・くすみを引き起こすメカニズムは詳細には明らかになっていなかった。
同社はUVAを短波UVA(320~370nm)と最長波UVA(370~400nm)に細分し,それぞれが皮膚に与える影響を検証。最長波UVAがシミ・くすみを引き起こすメカニズムの解明を試みた。
その結果,最長波UVAによってシミ・くすみ関連因子「GDF-15」が増加することを発見。さらに増加した「GDF-15」をヒト皮膚に添加し,産生されるメラニン量を計測した結果,「GDF-15」を添加したヒト皮膚においてメラニン産生量が増加することを確認した。
最長波UVAと短波UVAをそれぞれ照射できる機器を新たに作製し,最長波UVAと短波UVAを線維芽細胞にそれぞれ照射し,「GDF-15」の発現量を解析した。その結果,最長波UVAを照射した線維芽細胞における「GDF-15」の発現量が短波UVAを照射した線維芽細胞と比べて有意に増加し,約3倍となったことを確認した。
「GDF-15」が,皮膚中でメラニンの産生量を増加させることを確認するため,それぞれ「GDF-15」を含む培地と含まない培地で培養したヒト皮膚中のメラニンとを観察した結果,「GDF-15」を含む培地中で培養したヒト皮膚は,「GDF-15」を含まない培地で培養したヒト摘出皮膚と比べて,メラニン密度が約3倍に増加した。
さらに,「GDF-15」の発現を抑制する作用をもつ成分を探索する中で,オオバナサルスベリ葉エキスを添加した線維芽細胞にて,「GDF-15」の発現量が,未添加の同細胞と比べて約40%減少したことを確認。オオバナサルスベリ葉エキスに,「GDF-15」の発現を有意に抑制する効果があることを発見した。
同社では今後,これらの研究成果を化粧品の開発に応用していくとしている。