東工大,レーザースペックル法で美容ローラーの効果を証明

著者: admin

東京工業大学は,マッサージローラーで右頬を5分間マッサージすると10分間以上にわたって,右頬の皮膚血流量が約20%増加することを発見した(ニュースリリース)。

美容マッサージローラーは多くの者が利用している。ところが,その効果について定量的な論拠はなかった。先行研究では,運動後の手によるマッサージの効果が血管反応に影響すると報告されているが,安静時の比較的刺激の弱いマッサージの効果は予想できなかった。

またこれまでの研究では,機械的な刺激が血管壁に力を加えることで,血管内皮からは一酸化窒素が発生することはわかっていた。今回研究グループは,一酸化窒素は血管を拡張させるため,マッサージのような機械的な刺激によっても血管が拡張した結果,血流が増加するのではないかと予想した。

まず短期研究では,被験者12名(平均年齢22歳)に安静測定後,市販の美容マッサージローラーで右頬のみに5分間マッサージを行なわせ,その後10分間の安静を保たせた。マッサージは各自好みの強さ,速さで行なった。何も行なわずに安静を5分間保つ対照試行を30分以上の間隔をあけて行なった。

マッサージ前とマッサージ後10分間にわたって,レーザースペックル法を用いて顔の血流を計測した。レーザースペックル法とは,光の干渉により得られえる斑点模様の変化する速さが、測定対象の表面にある物体の移動速度と関連することを用いた非接触の血流測定法。

この計測の結果,マッサージ後10分間にわたり,安静値よりも平均20%の血流増加が認められた。マッサージをしない左頬および対照試行では血流の変化は観察されなかったという。

また長期研究では,被験者14名(平均年齢36歳)に5週間にわたって毎日5分以上,右頬にマッサージを各自好みの強さ速さで行なわせた。期間前後に血流反応を評価するため,3分間のマッサージ刺激と,1分間の40℃の温熱刺激に対する血流の変化量を計測した。被験者は5週間の累計で39回,平均236分のマッサージを行なった。

その結果,右頬では,マッサージ刺激に伴う血流増加反応がマッサージ期間前の16%から期間後の6%へ有意に低下した。一方,温熱刺激に対する血管拡張反応は7%から20%へ増加する傾向を示したという。

研究グループは,今回の研究により,マッサージが皮膚血流の改善に効果的であるとし,マッサージを用いた皮膚血流や血管機能の改善の手段の開発に役立てられるとしている。

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