島津製作所は9月3日,エネルギー分散型蛍光X線分析装置「ALTRACE(アルトレス)」を発売すると発表した(ニュースリリース)。価格は2200万円~(税抜,PCは含まず)。
この製品は,同社のエネルギー分散型蛍光X線分析装置(EDX)のフラッグシップモデル。EDXは測定試料にX線を照射することで試料中の無機元素の種類やその量を測る。試料を容器に入れるだけで測定でき,煩雑な前処置が不要。液体から粉末まで幅広い試料に対応し,その他の無機元素の測定手法と比較して迅速かつ容易なため,食品や環境などの業界で広く活用されている。
近年,食品や飲料水に加えて家具・家電・玩具などに含まれる有害な重金属に対する規制が強化され,製造・出荷工程での検査を目的としたEDXの需要が高まっている。分析装置に不慣れなユーザーが使う場面も増え,簡単かつ高感度に測定できる装置が求められていた。
この製品は,業界最高クラスの出力を有するX線源や高感度検出器,高速の信号処理回路により,有機物中のカドミウム,鉛など有害重金属において業界最高クラスの感度となる0.1ppmレベルの検出下限を実現。
また,8種類のX線フィルターの自動切り替え機能を搭載し,目的成分を阻害する特定のX線をカットすることで微量元素も測定可能。高速・高感度化に伴い,目的の分析精度に達するまでに必要な時間は当社従来機種比3分の1に短縮した。
また,最大48試料の連続自動分析が可能。多数の試料を測定する検査部門の利用に適している。また,連続分析のスケジュールを一時停止して試料を追加・変更する「割り込み測定」も可能で,ラボの状況に柔軟に対応する。「割り込み測定」時には測定部から独立した試料トレイを引き出して入れ替えが可能で,駆動部への接触を防ぎユーザーの安全を確保する。
この製品は,専用の試料容器に入れるだけで,前処理不要で液体から粉末,ペレット状の固体試料まで幅広く測定できる。また,本体幅710mm内に48試料対応トレイを標準で内蔵しており,空間に制限のあるラボの実験台にも設置できる。
この製品はいずれの元素も同社従来機種と比較して検出下限が向上し,測定感度は業界最高クラスを達成した。コンパクトな装置サイズと最大48試料収納可能なトレイを両立したことで,省スペースかつ高い測定効率を実現するとしている。