オハラは同社の光学ガラスが,JAXAが2023年9月7日に打ち上げた小型月着陸実証機「SLIM」(Smart Lander forInvestigating Moon)の航法カメラに採用され,この航法カメラによる画像航法により高精度に自身の位置を推定しながら,月面上に無事着陸することができたと発表した(ニュースリリース)。
「SLIM」は小型の探査機によって,月への高精度着陸技術の実証を目指すことと,軽量な月惑星探査機システムを実現し,月惑星探査の高頻度化に貢献を実現させることで将来の月惑星探査に貢献することを目指している。)
今回の着陸は,同社の「クリアセラム-Z」が採用された月周回衛星「かぐや」(打上げ:2007年9月14日)等で撮影した月面画像から作成された地図やデータと「SLIM」搭載の航法カメラで撮像した画像をマッチングすることで,着陸を実現したもの。
月面着陸は世界で5か国目(米国,ロシア,中国,インド,日本)であり,目標地点へのピンポイント着陸は現在確認中だが,成功が確認されれば世界初の偉業となる。また,月面着陸後には月の起源を解明するために岩石を分析することとなっているが,その分光カメラのフィルターガラスにも同社の光学ガラスが採用されている。
同社の光学ガラスは,アポロの月面着陸をはじめ長年にわたり宇宙に関わる探査に貢献してきた。近年では各国で民間企業による宇宙利用,宇宙開発が盛んに進められ,宇宙への関心がますます高まっている。同社は宇宙開発に欠かせないキーマテリアルとなる先進材料を提供することで引き続き宇宙開発に貢献していくとしている。