ウシオ,青色レーザーモジュールを発売

ウシオ電機は,各種製造プロセスにおける金や銅などの金属の加熱・加工用途向けに,ファイバー出力で25Wとハイパワーにも関わらず,大幅なコストダウンを実現した「青色レーザーモジュール」を,2022年11月より販売すると発表した(ニュースリリース)。

レーザーによる加熱プロセスは,非接触でコンタミネーションフリーという優れた特性を活かし,さまざまな分野で利用されている。中でも金属に対する加熱(溶融,溶接,切断など)には,従来から高効率でハイパワーな赤外域(波長800-1000nm)のレーザーが多く使用されている。

しかし,金属の赤外域光の吸収率は非常に低く(10~20%程度),レーザー光の大半は反射されることからエネルギー効率が低くなることに加え,その反射光が加工部周辺を加熱することにより,他の部材や部品に対するダメージが問題となっている。

それに対し,特に金や銅およびそれらの合金は,青色帯(波長500nm以下)光の吸収率が高い(赤外域の5~10倍程度)ことから,エネルギー効率の改善と周辺へのダメージ抑制の観点で,近年,青色帯レーザーを用いた加熱・加工プロセスが注目されている。

その際に用いられる青色帯レーザーは,約10W~1kWの大出力かつワークへの効率的な照射の実現のために細径(約100μm~1mm)のファイバーで出力するが,大出力を得るためには複数のレーザーチップの光を光学的に合成してファイバーに導入する必要があり,この光学合成部分には多数の光学素子の利用や精密な微調整が必要なことから,コスト高が課題となっていた。

そこで同社は,これらの課題を解決するために,シネマ用プロジェクターなどビジュアルイメージング分野で培ってきた設計技術およびレーザー特性や光学合成方法の知見を生かし,各種製造プロセス向けに使用可能でなおかつ装置への組み込みが容易な,出力25W,コア径φ200μm(0.22NA)のファイバー出力で波長455nmの「青色レーザーモジュール」を開発。使用する光学素子数の削減および組み立て時の調整工程の大幅な簡略化が可能となり,小型・軽量化と大幅なコストダウンを実現したとしている。

この製品は,加熱プロセス装置や溶接機,レーザー照射器などへ組み込むことで,電子機器などの高機能化に伴ってニーズが高まる金や銅など高反射な金属に対する加熱プロセスでの幅広い利用が期待できるという。

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