ニコンは,多様な高精細パネルの生産が可能な,第8世代プレートサイズ対応のFPD露光装置「FX-88S」を発売すると発表した(ニュースリリース)。
スマートデバイスやハイエンドモニターなどに用いられる中小型パネルは,折り畳み型スマートフォンの登場や,高精細モニターへの需要の高まりなどを背景に,大画面化と高精細化への需要が高まっている。また,テレビ向けなどの大型パネルにおいても,さらなる高精細化が求められているという。
同社は,これらのニーズに対応するため,高精細な中小型パネルの生産に適したFPD露光装置「FX-68SH/68S」(2016年発売)と,大型テレビ用パネルの生産に適したFPD露光装置「FX-103SH/103S」(2017年発売)で培った技術を応用し最適化。多様な高精細パネルの生産に対応するFPD露光装置「FX-88S」を開発した。
この製品には,第6世代プレートサイズ対応の「FX-68SH/68S」で高解像での量産実績のある,i線の投影レンズを搭載。第8世代プレートに対し,1.5μm(L/S)の解像度での露光を実現。また,「FX-68SH/68S」と同様の高精度フォーカス補正システムを踏襲し,第8世代プレート全面で優れた線幅均一性を達成している。
また,第10.5世代プレートサイズ対応の「FX-103SH/103S」に搭載した大型ステージ制御技術と,「FX-68SH/68S」の高解像投影レンズを採用し,高精度アライメントを実現。複数の投影レンズで構成された同社独自のマルチレンズシステムにより,プレート面を局所的に補正することができるため,大型プレートの様々な歪み形状にも対応可能で,歩留まりの高い量産に寄与するという。
さらに,マルチレンズシステムにより高い解像度で広い面積の一括露光を実現し,4回のスキャンで第8世代プレート全面の露光が可能。従来機種の「FX-86SH2」と比較して,ステージの駆動速度を30%以上改善し,タクトタイムを大幅に向上させた。最大4本の光源の搭載が選択でき,高照度を必要とする露光プロセスにおいても,高生産性に寄与するとしている。
この製品の発売は2022年4月上旬を予定している。