広島大,遮光による茶葉表皮細胞への影響を解析

広島大学の研究グループは,高品質な茶葉を作るための遮光が茶葉へ及ぼす影響について,表皮細胞に着目した解析を試みた(ニュースリリース)。

お茶の栽培には遮光処理(被覆栽培)が慣行されているが,遮光作業は重労働であり,担い手不足に拍車をかける原因の1つになっている。しかし,今まで高品質な緑茶の生産のための遮光が,茶葉の表皮細胞にどのような影響を与えているのかはわかっていなかった。

研究グループは,これまでに,シロイヌナズナで発見されたトライコーム形成を制御するCPC遺伝子のホモログ(共通の祖先に由来する,類似した塩基配列を持つ遺伝子)CsCPCがお茶に6つあることを報告している。研究グループは,その6つのCsCPCに着目し,遮光による影響について解析した。

トライコームは,表皮細胞から分化した毛状突起で,虫の食害やUVから植物体を守るために葉や茎に形成される。

約2週間の遮光処理により,若葉(第一葉)のトライコーム数が露光条件に比べて約30%減少することがわかった。また,茶葉の横断面を観察したところ,遮光により表皮細胞の厚さが約27%薄くなることが明らかになった。今のところ,トライコームが多いと,実際に高品質なのかは不明だが,これらの効果が,緑茶の品質に影響しているのではないかとする。

6つのCsCPCファミリー遺伝子の発現を解析したところ,遮光条件におけるCsCPC-1,CsETC1-2およびCsETC3の3つの遺伝子発現が露光条件に比べて顕著に高いことがわかった。これらの3つの遺伝子が,遮光条件での茶葉のトライコーム形成を抑制していると考えられるという。

今回,遮光が表皮細胞に与える影響という点を中心に研究を行なったが,トライコームがどのように形成されるか,トライコームが緑茶の苦味や旨味などの品質とどのような関係があるのかという点については未解明。

研究グループは今後,トライコーム形成機構および品質との関係についても解明したいとしている。

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