2024年3Dラインプロファイルカメラ市場,1.3倍に

富士経済は,半導体需要の増加,物流関連の人手不足による自動化ニーズへの対応などから注目が集まる画像処理システムの世界市場を調査し,その結果を「2022年版 画像処理システム市場の現状と将来展望」にまとめた(ニュースリリース)。

それによると,AI・ディープラーニング応用製品は,従来のルールベースの装置では対応が難しい画像処理や,検出プログラミング工数が多いランダムな傷やムラの発見に適しており,注目が集まっているという。

新型コロナウイルス感染症流行の影響によりPoC(概念実証)が長期化しているため,伸び率は鈍化しているものの,2021年の市場は54.8%増を見込む。今後は,外観検査向けで普及が進むほか,アプリケーションに特化したライブラリを提供することで少ない学習工数かつ高い認識精度で運用できる点が受け入れられ,ディープラーニング活用型画像処理ソフトウエアがけん引することで,2024年の市場は2020年比6.5倍を予測する。

2021年の単体機器は,前年比14.2%%増を見込む。処理装置は自動化ニーズにより各品目とも好調で特に画像処理装置(筐体型)は物流関連の旺盛な需要が市場をけん引しているという。また,カメラは設備投資が回復に向かっていることから伸びており,産業用CIS,3Dラインプロファイルカメラなどが注目されているとしている。

半導体不足の影響が懸念されるものの,物流関連の自動化やEV生産への設備投資増加,車載電装品など電子部品関連の需要増加によって堅調に推移するとして,2024年の市場は7,652億円を予測する。

2021年の検査アプリケーションは,基板実装関連でAXIがX線検査の義務化で欧州を中心に伸長しているという。また,設備投資増加に伴って自動車関連や食品・薬品関連が回復に向かっているとし,前年比11.6%増を見込む。

今後,自動車関連は目視検査の置き換えとして伸びるほか,農作物など食品関連は各国のHACCP導入による検査の厳格化で,また健康サプリメントの需要増加に伴う検査機器の増強などを要因として伸長し,2024年に向けて市場は拡大すると予想する。

物流・ロボティクスは新型コロナの影響によるEC市場拡大に伴う配送量の増加で,人手不足が深刻化しているため,自動化に向けた設備投資が進んでいることから,2021年は市場拡大しているという。

AI画像認識活用物流システムはAi活用により精度の高い仕分けやピッキングが可能であり,米州や中国を中心に導入が増加するとみる。また,Visual SLAMは,スタートアップ企業を中心に展開され,ロボティクスや自動車関連の案件が活発化しているとする。

2021年の観察・測定関連機器は,主に半導体や電子部品関連で伸びている。特に,共焦点レーザー顕微鏡(工業用)は,従来は測定が困難であった対象物の測定が可能となるため,需要が増えるとみる。

今後は,EVや5G通信の普及に伴う半導体や電子部品関連の研究開発,品質管理向けの需要増加が期待されるとし,観察・測定関連機器の導入が進むことで,2024年には2020年比35.5%増を予測する。

調査では注目市場として,3Dラインプロファイルカメラ,AXI,Visual SLAM市場を取り上げた。このうち3Dラインプロファイルカメラは,カメラとレーザーの一体型で,光切断方式で得た複数枚の断面プロファイルから,三次元画像を結合することができる製品を対象とした。用途は,自動車関連が大半を占めるが,中国を中心に鉄道関連でも使用されているという。

外資系メーカーの製品が普及している中国や欧州,米州が中心で,検査・計測における自動化ニーズや大型製品の三次元画像情報を高速に取得したいという要望が高まっているため導入が進んでいるという。日本では,日系メーカーの事業本格化や外資系メーカー製品を扱う代理店の増加によって普及しつつあるといい,2021年の市場は前年比10.2%増を見込む。

今後は,画像処理が2Dから3Dへ移行していくため,市場は拡大するとみる。また,主流の自動車関連に加えて,日本や中国では鉄道関連,米州では物流関連での採用が増えており,新たな用途で需要が増えることなどから,順調な市場拡大を予想する。

AXIは,実装基板の不良検知や目視が困難なクラック,異物混入などの判別に対応するX線検査装置であり,二次元透過検査に対応する2Dタイプと3D-CT検査に対応する3Dタイプを対象とした。

2021年は,X線検査の義務化への対応によって,欧州での自動車関連の導入が増加している。また,アジア地域ではスマートフォン関連や半導体パッケージで需要が高まっているという。

中国ではローエンド機が中心のスマートフォン関連から,ハイエンド機が中心の車載電装関連まで幅広く需要が高まっている。日本や欧米では,車載電装や情報通信関連の需要が回復しており,検査の完全自動化に向けて普及していくとみている。

また,自動車のヘッドライトやスマートフォンのバックライトといったミニLED関連の用途が新たに加わるほか,発展途上国の5G通信関連の基地局への投資が活発化しており,全世界的に5G通信関連向けの需要が高まることから,2024年の市場は2020年比2.4倍を予測している。

自動車やドローンなど移動体が,搭載されたカメラなどで得られる映像をもとに自己位置推定を行なうVisual SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)は,ソフトウエア開発キットやソフトウエア料金,評価・開発に対するサービス料金を対象とした。

スタートアップ企業による製品開発が活発化し,市場が立ち上がった。新型コロナ流行の影響により,開発プロジェクトの遅れがみられたものの,2021年からプロジェクト再開が本格化しているため,市場は拡大を予想する。

オープンソースをベースにVisual SLAMを自社開発する企業は多いものの,開発人員の問題などからサードパーティ製品の需要が増えており,自動運転やロボットなどは自動化が進む社会において欠かせない製品であるため,それらの伸びに伴い,VVisual SLAMの市場も拡大するとみる。

また,現在は日本や欧州,米州の需要が中心であるものの,中国での開発案件や参入企業も増えており,2024年の市場は2020年比2.7倍を予測した。

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