古河電気工業は,データセンターにおける次世代のネットワークスイッチ装置に導入されるCPO(Co-Packaged Optics)に必要とされる外部光源「ELS:External Light Source」を世界で初めて開発したと発表した(ニュースリリース)。
通信トラフィックの増大に伴い,ネットワークスイッチASIC(Application Specific Integrated Circuit)の容量は25.6Tb/sに達しているが,さらに大容量の次世代版51.2Tb/sの導入に向けては,装置内の電気配線の一部を光に置き換える新しい装置アーキテクチャであるCPOの導入が期待されており,これにより通信速度の向上及び30%以上の消費電力削減が期待されている。
NTTのネットワーク・情報処理基盤の構想であるIOWN構想において光電融合の第1フェーズと位置付けられるCPOでは,一枚の基板の上でスイッチASICの周りに高密度にシリコンフォトニクス光トランシーバが実装される。
スイッチASICの発熱により化合物半導体であるレーザー光源をシリコンフォトニクス光トランシーバに搭載すると,高温環境により特性が劣化して信頼性にも影響する。ELSはこれを避けるため,レーザー光源を光トランシーバから離して,環境温度が低い躯体の外部にあたるフロントパネルに移動させたもの。光は多芯偏波保持ファイバケーブルによってELSから光トランシーバに供給される。
同社は,高出力化合物半導体レーザと光パッケージングの技術を活かし,光トランシーバ用に標準化されているQSFP(Quad Small-Form Factor Pluggable)を用いて,世界で初めてとなるELSの開発に成功。QSFPELSを筐体のケージに挿入することで動作するホットプラガブルに対応。また,8芯の偏波保持ファイバコードを用いたピグテイルによりCPO用光トランシーバへ直線偏波を供給でき,ファイバ端末はMPOコネクタがついている。
8芯それぞれの光源波長には2つのオプションがあり,1311nm(Oバンド)またはCWDMに準じた4波長(1271nm,1291nm,1311nm,1331nm)を2波ずつ出力できる。動作ケース温度範囲は0ºC~55ºCで,チャンネル当たりの光出力は100mW以上。この製品は2022年4月からサンプル出荷,2023年末から量産開始を予定しているという。