島津製作所は,6月1日にエネルギー分散型蛍光X線分析装置「EDX-LE Plus」の販売を日本国内で開始した(ニュースリリース)。希望販売価格は770万円(税別)。
エネルギー分散型蛍光X線分析装置(EDX)は,試料にX線を照射して発生する蛍光X線のエネルギー(波長)や強度を解析することにより,試料を構成する元素の種類や含有量を調べる。非破壊で短時間に分析できることから,RoHS/ELV指令に対応する電子機器・自動車メーカーおよびサプライヤーなどが原材料の受け入れ・完成品出荷時の検査など品質管理のほか,各種部品の品質保証に利用できるという。また,一般の材料組成や不純物分析としても有効だという。
同社は2017年から中国に,翌2018年からは韓国や東南アジアなどにこの製品を輸出していたが,新型コロナウイルスの感染拡大によって,グローバルなサプライチェーンを見直して,国内の生産拠点に再投資する動きが出てきたことにより,日本国内での販売も開始することになった。
この製品は,電子冷却方式でメンテナンスフリーのシリコンドリフト検出器を搭載しており,従来機と比べて高い感度と精度につながっている。通常,EDXの測定時間は感度に依存するため,金属試料の測定は従来比で約3分の1に短縮できる。また,コンパクトな設置面積・筐体でありながら,幅370mm×奥行320mm×高さ155mmまでの大きな試料をセットできる試料室を内蔵している。
分析初心者にも簡単な優れた操作性で,装置を起動すると,装置チェック画面に切り替わり,装置状態を自動判断して,正常であれば分析準備画面までナビゲートする。開始ボタンをクリックするだけで対象材質に適した条件をソフトウエアが自動で選択。測定終了後には対象元素の定量値とOK/NGというRoHS指令に沿った判定結果が表示される。RoHS指令の対象元素の検量線があらかじめ内蔵されており,検量線の作成業務は不要だとしている。