アイ・アール・システムは,ポーランドVIGO SYSTEM製「InAs/InAsSb SL(SuperLattice:超格子)赤外線検出器」の取り扱いを開始した(会社HP)。
この製品は,従来のMCT検出器に匹敵する性能を持ち,RoHSに完全対応した。現在,広く使用されている赤外線検出器には,MCTやPbS/PbSeなど環境規制物質を含む製品がある。MCT化合物には多くの利点があるが,一部の用途では,水銀,カドミウム,鉛を含む検出器は,その毒性のために規範や指令(RoHSなど)によって市場から敬遠されつつあるという。
A3B5半導体は,光検出器の製造においてHgCdTeやPbSeに代わる有力な候補とされている。VIGO SYSTEMでは長年にわたる集中的な研究開発を経て,InAs/InAsSb超格子吸収体を用いた複雑なヘテロ構造に基づく,第1世代の光導電体およびMWIRとLWIRの光起電力デバイスを発表する準備が整ったとしている。
「MWIR SL検出器(1.7-5.9um)」は非冷却または2段TEC(230K)付きSL検出器で,最近の結果ではバルクのInAsSbデバイスと比較して,高い抵抗面積(RA)積を示すことが明らかになった。これにより,十分な検出能力を持ち,より広いスペクトルバンドの検出器を製造することが可能だという。
また,「LWIR SL検出器(1.7–12.0um)」は2段および3段TEC(230Kおよび210K)付きSL検出器で,10μmと12μmに最適化された検出器を提供可能(15μmやそれ以上も検討可能)。液体窒素による冷却を必要としないLWIR検出器としては,初のRoHS対応製品で,分光学の新しい展望を開くものだとしている。
なお,VIGO SYSTEMは,「InAs/InAsSb SL検出器」の詳細と,今後の開発ロードマップ紹介のため,Zoomを利用した無料ウェビナーを2021年4月7日に開催する予定(参加無料)。参加登録はこちらから。