島津製作所は,走査型プローブ顕微鏡「SPM-Nanoa」を国内外で発売した(ニュースリリース)。価格は2100万円(税別)。
走査型プローブ顕微鏡は,先端が10nm程度の探針(プローブ)を試料に近づけて,試料と探針間の力学的・電磁気的な相互作用力を検出しながら走査し,試料表面の三次元形状や物性情報を取得。高分子材料や電池材料,ナノ材料などの形状観察や物性評価に利用でき,ナノテクノロジー・ナノサイエンスにおける多様な課題に対応が可能だという。
この製品は,操作に慣れが必要な光学調整や観察条件設定を大気中と液中で自動化。新搭載の簡易モードは,プローブのセットから自動の光軸調整,試料のセット,独自アルゴリズムによる観察条件の設定,取得画像の自動補正という全工程に改良・自動化を盛り込んでいる。
最上位機種「SPM-8100FM」の検出光学機構を採用することで,高感度・低ノイズの信号検出を実現。この結果,より小さな相互作用力を検出でき,ゲル状のやわらかい試料の観察が容易になった。また,液中での探針の複雑な応答を正確に検出・制御できるようになり,液中観察を自動化したという。広域観察時でも高い分解能を維持できるように,8K画像(8192×8192画素)まで対応。従来は別々だった光学顕微鏡とSPMの機構が一体となっているため,振動の影響を受けにくく,安定した光学顕微鏡観察によるターゲット探しが可能だとしている。
さらに,SPM観察の準備からデータ取得まで従来30分程度を要していたが,各種機構の改良により,この製品では5分で完了するという。また,従来4時間以上かかっていた弾性率分布の測定も,専用ソフトウェア「ナノ3DマッピングFast」(オプション)を利用すれば約20分で済むとしている。