セイコーエプソンは,第四世代スマートグラス向け光学エンジン「VM‐40」を開発し,同光学エンジンモジュールの外販を開始すると発表した(ニュースリリース)。
この光学エンジンは,独自のシリコンOLED(有機EL)ディスプレー(0.453インチ)と光学技術により,同社従来製品比較で,精細度1.5倍(1920×1080),コントラスト5倍(500,000:1),画角1.5倍(34°(対角))を実現したという。スマートグラスの開発,製造を検討される開発者や事業者は,この光学エンジンを活用して,高画質なシースルー映像を実現するスマートグラスの開発,製造が可能となる。
同社は,従来より,独自開発のシリコンOLEDを採用した,小型・軽量・高画質なスマートグラス「MOVERIO」シリーズをにより,民生・産業領域に向けて展開してきた。こうした中で,特定の利用シーンに対する多くのカスタマイズ要望を受けていたという。
また,昨今の新型コロナウイルス感染による外出や出張規制を受け,業務用途では,製造業などの遠隔作業支援におけるスマートグラスのニーズが高まっている。個人利用においても,在宅で映画やSNS動画を視聴するといった巣ごもり需要などもあり,今後もスマートグラス市場は拡大傾向にあるという。同社はこのような状況を踏まえ,光学エンジンモジュールの外販を開始することとした。
同社は,コアとなる光学エンジン外販をもう一つのビジネスの核として,スマートグラスに求められるさまざまなコア技術を有する企業とのパートナーシップによるハードウェアプラットフォームを構築することで,ビジュアルコミュニケーションの世界を広げ,ウェアラブルディスプレーによるイノベーションをさらに加速する。
他にも同社は,半導体技術,光学技術を融合した,新たなセンシング関連技術の外販を開始する。こちらは,光学式心拍センサー(PPG)やGNSSなどの各種センシングデバイスならびにモジュールを提供する。
同社は,第2期中期経営計画における基本方針のひとつとして「資産の最大活用と協業・オープンイノベーションによる成長加速」を掲げており,拡大する多様な用途や,新たなニーズが生まれているAIやIoTの世界に対しても,協業パートナーとのオープンイノベーションを通じ,新たな市場創出を図っていくとしている。