ナイトライド・セミコンダクター,国立病院機構仙台医療センターの研究グループは,従来は検証が難しいとされていたノロウイルス(マウス)に関して,深紫外線LEDによる高い不活化性能を検証した(ニュースリリース)。
水道水の殺菌には,塩素系薬剤(次亜塩素酸ナトリウム等)が使用されているが,理由は,薬剤の方が,簡便,確実,安価であることが理由として挙げられる。
しかし,高濃度の塩素は人体に有害であり,他の物質との副生成物として,発がん性物質トリハロメタンを形成するリスク,更に残留塩素によるカルキ臭が問題となっている。 環境先進国においては,紫外線(光)による水殺菌が先行している。 メリットとしては,副生成物や残留物が発生しないことが挙げられる。
従来,光殺菌の評価に関して,大腸菌に関しては,検体が比較的簡単に手に入ることもあり,評価試験が行なわれているが,ノロウイルスに関しては,評価が難しかった。
深紫外線LEDによる水殺菌は,長寿命な深紫外線UV-LEDモジュールの採用で,省エネ,安全,且つ経済的,安定した性能が長時間持続する。また,毎分2Lの水を99.9%殺菌(同社水殺菌ユニットにて大腸菌による検証結果)するなど高い殺菌性能を示し,さらに,トリハロメタン等の副生成物や残留塩素等が発生しないため安全,といった特長がある。
今回研究グループは,波長300nm以下の光出力7mW深紫外線DUV-LEDを用いたノロウイルスの不活化性能を検証した。水媒体を介して10cm離れた距離に設置したノロウイルス(マウス)の液体へ深紫外線を照射し,照射時間によるノロウイルスの減衰数を確認すると,0分で356000個,10分照射で1120個,20分照射で356個,30分間の照射で検出限界(30個)以下まで減少したことを確認したとしている。