資生堂と東北工業大学の研究グループは,超高感度冷却CCD(Charge Coupled Device)カメラによる肌のバイオフォトン(UPE)測定技術を応用することで,紫外線ダメージなどによって肌に蓄積される酸化ストレスを”顔全体”の広い範囲で評価することに成功し,顔の酸化ストレスには部位差があることを初めて明らかにした(ニュースリリース)。
肌からは,バイオフォトン(UPE)と呼ばれる目には見えない極めて微弱な光が発生しており,この微弱な光は酸化ストレスに伴い増加することが知られている。同社は2018年に,超高感度冷却CCDカメラによる測定技術を応用することで,UPEを撮影し,肌を傷つけることなく,肌の酸化ストレスを高精度に可視化できるようにした。
同社はこの技術により,日焼け止めが紫外線を防ぎ,酸化ストレスの発生を抑制すること,化粧品に含まれる緑茶抽出液が紫外線ダメージによって生じる酸化ストレスを抑制する効果があることを視覚的に証明することに成功している。
UPEは非常に弱い光のため可視化には高い技術が必要で,広い範囲を正確に観察することは非常に難しいことだったが,今回,顔全体の酸化ストレスを評価することに成功した。
その結果,眉間・鼻周りの肌が他の部位に比べて酸化ストレスが高い状態にあることがわかった。この部位は顔のなかでも紫外線が当たりやすく,皮脂の多い部位なので,酸化ストレスが高くなっている可能性が考えられるという。日焼け止めをこまめに塗り直したり,しっかりとスキンケアを行なうなど,部位に合わせたケアの重要性が示唆された。
またこの測定技術を活用して,各年代の女性の目周りの肌の酸化ストレスを評価したところ,肌の酸化ストレスレベルは加齢とともに増加し,酸化ストレスレベルの高い肌ほどシワのスコア(程度)が高まることも見出した。
紫外線による肌の酸化ストレスは光老化の原因の1つとされており,特に顔は年中紫外線を浴びるため,日頃から肌をケアすることは非常に重要となる。
同社では,これまでに得られた研究成果をもとに,酸化ストレスから肌を守るスキンケア・サンケア製品の開発を進めていくとしている。