新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は,光技術総合展示会OPIE’18にてレーザーを中心としたプロジェクトの経過・成果を紹介するブースを出展している。その中で,高品質なレーザー光を特長とするフォトニック結晶レーザー(PCSEL)の紹介を行なっている。
半導体レーザーの高出力化に伴い,そのアプリケーションは溶接や切断といった加工用途にも広がっている。一方で半導体レーザーはビームの広がり角が大きく,高出力化と共にビーム品質が大きく低下するという課題があった。
京都大学教授の野田進氏らの研究グループは,人工的な光ナノ構造を用いたPCSELの原理を考案し研究を進めている。PCSELはビーム品質を劣化させることなく大出力化が可能とされており,今回,NEDOプロジェクトで進められている「高輝度・高効率化レーザー技術開発」の成果を展示している。
研究グループはPCSELの産業展開を目指し,短パルス化と短波長化という二つのアプローチを試みている。その成果として,サブナノ秒パルス発振とGaN系材料によるPCSELの製作法を開発した。これにより航空産業や自動車産業でのPCSELの実用化に一歩近付いた。
展示会場ではPCSEL素子から発振したレーザーによる,紙の穴開けのデモを行なっている。ビーム品質が高いため,レンズでビームを絞ることなく紙に穴が開くことを確認できる。