ソニーグループ社員の梅林拓氏,髙橋洋氏(ソニーセミコンダクタソリューションズ),庄子礼二郎氏(ソニーセミコンダクタマニュファクチャリング)は,積層型多機能CMOSイメージセンサー構造の開発により,平成30年度科学技術分野の文部科学大臣表彰 科学技術賞(開発部門)が授与されることになった(ニュースリリース)。
この開発は,従来の裏面照射型CMOSイメージセンサーの支持基板の代わりに信号処理回路が形成されたチップを用い,その上に裏面照射型画素が形成された画素部分を重ね合わせた積層構造のCMOSイメージセンサーの量産化に成功したもの。さまざまな端末に搭載されるカメラ機能の多機能化に貢献したことが評価された。
この積層構造により,小さなチップサイズで大規模な回路の搭載が可能となることに加え,独立形成が可能となった画素部分と回路部分は,それぞれに特化した製造プロセスを採用できるため,小型化・高画質化・高機能化を同時に実現できる。さらに,回路が形成されたチップに先端プロセスを採用することで,信号処理の高速化・低消費電力化を図ることができる。
現在,この積層型CMOSイメージセンサーは,小型化・高性能化が求められるスマートフォンなどの携帯端末や,多くのデジタルカメラで採用されている。今後もさらなる性能の向上により,イメージセンサーをはじめとするさまざまなセンシングデバイス(半導体素子)の高機能および多機能化を促進する基本技術として,応用されることが期待されている。