新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は,自動走行に必要な高精度な3次元デジタル地図(ダイナミックマップ)やヒューマンマシンインターフェース(HMI)などの6つの研究開発テーマの委託先を決定し,自動走行システムの大規模実証実験を本日から開始する(ニュースリリース)。
内閣府は2014年度から,交通事故の低減や渋滞削減,次世代都市交通システムの実現等を目指して,自動走行システムの早期実用化と普及のために,研究開発事業「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)自動走行システム」を推進してきた。
NEDOは,同SIP事業のうち「大規模実証実験」について管理法人として,今回,自動走行に必要な高精度な3次元デジタル地図「ダイナミックマップ」のほか,「HMI」,「情報セキュリティ」,「歩行者事故低減」,「次世代都市交通」,「社会受容性醸成」の合計6テーマについて委託先を決定した。自動走行システムの大規模実証実験を本日から開始する。
実証実験への参加者という位置づけで,国内外の自動車メーカー等の協力のもと,テーマの成果についてオープンな場で多角的な評価やフィードバックを得ていく。
このうち,「ダイナミックマップ」については,三菱電機,アイサンテクノロジー,インクリメント・ピー,ゼンリン,トヨタマップマスター,パスコに委託を予定する。
ダイナミックマップの実用化に向けた最終仕様の確認・合意,国際標準化,デファクト化の推進,関連する研究開発・アプリケーション開発の促進のため,2017年度は,ダイナミックマップの試作・整備及びセンター機能や更新手法等を確立し,静的な3D地図データを検証する。
2018年度は,通信を使用した地図の更新や動的な情報を配信する実証実験を行なう。また,新規建設や整備が進むことで日々変化する道路の状況を迅速に反映するため,静的な3D地図データの差分更新・自動図化に関する研究開発を行なう。
また,「HMI」(Human Machine Interface)は,産業技術総合研究所,デンソー,東京都ビジネスサービスへの委託を予定する。2017年度から2018年度にかけて,自動走行システムの機能・状態・動作についてのドライバーの理解について検討し,事前知識のあり方やシステム状態をドライバーに伝えるためのHMIの基本要件を策定する。
ドライバーReadinessの定義の確立,ドライバーの状態と遷移時間の関係性の導出,ドライバーReadinessを維持するためのHMIの基本要件の策定を行なうとともに,車載可能なドライバーモニタリングシステムを開発する。また,歩行者・自動走行車以外の車とのコミュニケーションのための外向けHMIを試作・検証し,外向けHMIの基本要件を策定する。