2025年の車載電装デバイス&コンポーネンツ世界市場,2013年比2.1倍の26兆5,650億円に

富士キメラ総研は,進展する自動車用の電装システムの需要予測と,それを構成するセンサやモータなどのデバイスやコンポーネンツの動向を調査した。1

2013年 2025年予測 2013年比
パワートレイン系 6兆5,912億円 10兆6,997億円 162.3%
HV/PHV/EV/FCV系 7,107億円 4兆3,276億円 6.1倍
走行安全系 1兆8,950億円 3兆8,642億円 2.0倍
ボディ系 2兆2,694億円 3兆1,037億円 136.8%
情報系 1兆2,724億円 4兆5,698億円 3.6倍
合計 12兆7,387億円 26兆5,650億円 2.1倍

自動車は,「走る」「止まる」「曲がる」などの基本的な機能を担うシステムが電装化され,「環境」「安全」「快適」をテーマにそれぞれの機能のインテリジェント化に開発の主眼が置かれた第1世代から,現在では第1世代で築いた技術を大衆車へ普及させるための低価格化と,単独機能のインテリジェント化から他の機能と協調させるスマート化への開発に重点が置かれる第2世代のフェーズに移行しつつある。

同社はこのことを踏まえ,電装システム20品目,情報機器5品目,デバイス&コンポーネンツ29品目,ECU1品目,ECU構成デバイス12品目の合計67品目を対象とし,市場の現状を分析し今後を予測した。

対象とした電装システム20品目の2013年の市場は,前年比3.4%増の12兆7,387億円となった。今後も各分野とも大幅な市場拡大が期待され,特に環境規制の強化によりパワートレイン系,HV/PHV/EV/FCV系,また搭載の義務化が推進されている走行安全系の拡大が注目される。2025年の市場は2013年比2.1倍の26兆5,650億円を予測する。

最も市場規模が大きいのはパワートレイン系で,2013年の市場は6兆5,912億円となった。HV/PHV/EV/FCV系は,最も急成長が期待される分野であり,2025年には2013年比6.1倍の4兆3,276億円を予測。HV/PHV/EV/FCVシステムは,エンジンに代わる新しい駆動システムのため,エンジンマネジメントシステムには無い特有のセンサなどの搭載が進むとみられる。

走行安全系は,ADAS(先進運転支援システム)の高い成長を軸に市場が拡大するとみられ,2025年には2013年比2.0倍の3兆8,642億円が予測される。ADASに低価格な車載カメラを利用して簡易かつ高精度を実現した緊急自動ブレーキの搭載が急速に拡大したように,走行安全系システムのさらなる普及には低コスト化が必要と考えられる。現状では各システムに同じセンサを複数個搭載する必要があるが,低コスト化のために,1個のセンサを複数のシステムに利用する提案が進められている。

ボディ系は,ボディ統合制御システムなど,先進国では既に搭載率が高いシステムもあるため,他分野に比べて市場の成長率はやや低め。とは言え,新興国の需要を取り込み,2025年には2013年比36.8%増の3兆1,037億円を予測。

情報系は,他システムとの統合を図りながら市場を拡大させ,2025年には2013年比3.6倍の4兆5,698億円を予測。運転時の情報をドライバーに的確に知らせる必要から,情報表示の手段として液晶ディスプレイの搭載が増えるとみている。また,情報表示の際には運転の妨げとならない工夫が必要であるため,タッチパネルやタッチセンサの搭載も進むと想定される。加えて,車内だけでなく外部からの情報をドライバーに知らせる必要性も増すため,通信モジュールの需要増加も考えられる。

詳しくは富士キメラ総研 プレスリリースへ。