理研、ゴルジ体内のタンパク質輸送を制御する分子機構の一端を解明

理化学研究所は、酵母を使い、細胞小器官のゴルジ体でのタンパク質輸送を制御する分子機構の一端を解明した。

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研究チームは、独自に開発した高感度共焦点顕微鏡システム(SCLIM)を使用した生きた細胞のライブイメージングにより、酵母のゴルジ体に存在するRab GTPアーゼを可視化し、挙動を調べた。

その結果、細胞小器官の1つであるエンドソームからゴルジ体へのタンパク質輸送を担うYpt6は、ゴルジ体が成熟するにつれて膜上から消失することが分かった。さらに、Ypt6の挙動の制御には、Ypt6を不活性化させるタンパク質Gyp6がトランス槽に存在するYpt32と結合しトランス槽の膜上に局在する必要があることが明らかになった。

これらの結果は、近年提唱されているRab GAPカスケードにより一連のRab GTPアーゼ転換機構が行われることを示している。また、Rab GAPカスケードが正常に働かない変異株を作製したところ、Rab GAPカスケードがゴルジ体の機能、および成熟に少なからず寄与していることも明らかになった。

今後、SCLIMによるライブイメージングを駆使し、ゴルジ体の成熟を司るメカニズムに迫ることで、ゴルジ体を中心とした細胞内膜交通の全容解明が期待できる。

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