栄光と光栄ってどんな光?


子供の頃,僕が住んでいた札幌で冬のオリンピックが開催された。日本が高度成長期であったこともあって,オリンピックに向けて札幌の街は大きく変わった。地下鉄が通り,地下街ができた。石川啄木が「大いなる田舎」と呼んだ札幌は都市に変わってしまった。オリンピックの歌が町中に流れ,何だかみんなが舞い上がった雰囲気の中で,子供だった僕は,ただウキウキとしていた。

外国人で溢れていたオリンピック期間中は,それはもう夢のような世界だ った。そして閉会の後の静けさがなんと寂しかったことか。全てが僕にとっては今でも忘れられない特別な体験なのである。今年は北京で冬季オリンピックが開催された。数十年前とはまるで異なる商業主義化や政治の問題など,オリンピックも変わ ってしまった。でも,子供の頃の体験があるせいか,冬のオリンピックにはなんだかノスタルジーを感じてしまうのだ。

北国育ちの僕にとって冬のスポーツはかなり身近な存在だけれども,テレビで見る選手たちのプレーはまるで次元が違う遠い世界の出来事のようだ。彼らの技術が神業なのはもちろんだけれども,それだけではない。最も違うのは,彼らが目指すものが世界の頂点だということである。

この続きをお読みになりたい方は
読者の方はログインしてください。読者でない方はこちらのフォームから登録を行ってください。

ログインフォーム
 ログイン状態を保持する  

    新規読者登録フォーム

    同じカテゴリの連載記事

    • 動体視力という視力 納谷ラボ代表 納谷昌之(なや まさゆき) 2024年06月11日
    • 何かに見えるということ─パレイドリア─ 納谷ラボ代表 納谷昌之(なや まさゆき) 2024年05月10日
    • にんじんケーキの彩りの謎 納谷ラボ代表 納谷昌之(なや まさゆき) 2024年04月11日
    • 油の虹は雨上がりに現れる 納谷ラボ代表 納谷昌之(なや まさゆき) 2024年03月12日
    • 光に関する忘れ物 納谷ラボ代表 納谷昌之(なや まさゆき) 2024年02月12日
    • 金魚に騙される─立体という幻─ 納谷ラボ代表 納谷昌之(なや まさゆき) 2024年01月10日
    • アトを超えるもの 納谷ラボ代表 納谷昌之(なや まさゆき) 2023年12月12日
    • 白い虹 納谷ラボ代表 納谷昌之(なや まさゆき) 2023年11月10日