量子カスケードレーザー市場
2020年には5億6700万ドルに

5. 中赤外線領域の競合技術

図2 中赤外線光源の種別,波長帯(出典:Laser Focus World記載データをTematysで再構成)
図2 中赤外線光源の種別,波長帯(出典:Laser Focus World記載データをTematysで再構成)

CL光源の中赤外線領域における潜在性が高いことは明らかだが,それは必ずしもCL技術がこの領域で勝者になることを意味してはいない。中赤外線領域には,OPO,VCSEL,固体レーザー,ガスレーザー,スーパーコンティニウムレーザー,ファイバーレーザーなど,競合する技術が多数存在している。CLがこの中で優位的な位置を占めるためには,慎重なポジショニングとターゲッティングが必要となる。

図2は,中赤外線領域における光源グループごとに発振波長を示している。各アプリケーションでどの光源を選択するかは,以下のような基準によって決定される。

・光源の特色:帯域,可変性,安定性,パルス発振/連続波発振,平均出力,最大出力
・大きさ,重さ
・消費電力
・コスト
・技術の成熟度
・製造プロセスのスケーラビリティ

・その他

表1 中赤外線領域の技術と応用
表1 中赤外線領域の技術と応用

炭酸ガスレーザーは主に10.6μmで発振する。その電力変換効率は10%以上で,数キロワットを必要とするアプリケーションに適している。5μmの波長を持つ新世代の一酸化炭素レーザーも開発されており,材料加工においてより進化した性能が期待されている。

中赤外線領域で発振する固体レーザーの多くは,希土類イオンにおける電子遷移と,遷移金属における振電遷移を利用している。Tm,Ho,Erなどをドーパントとする,第III族の希土類元素による固体レーザーも開発されている。このタイプの固体レーザーは主に医療分野で用いられている。

中赤外線領域における半導体レーザーは,インターサブバンド,あるいはインターサブバンド間遷移によって発振し,小型で電気的に制御されるという特徴を持つ。商用的に最も成功している中赤外線半導体レーザーはQCLであるが,ICLやVCSELなどもこれに追随しようとしている。

非線形周波数変換により中赤外線における波長を得る方法もある。OPOなどの光パラメトリック発生による波長変換,マイクロレゾネータ,スーパーコンティニュウム発生による近赤外線のスペクトル広がりなどが考えられる。CWやパルス光源を用いて中赤外線への非線形変換を行う装置が研究されているが,高価で大型であるため,実用化には至っていない。

高い効率性,コンパクトなパッケージング,高い信頼性,高いビーム性能などの利点から,ファイバーレーザー(可視光,近赤外線領域)の応用先は近年ますます広がりつつある。Tm,Ho,ERなどの第III族希土類イオンを利用した中赤外線ファイバーレーザーの開発が行われているものの,商用化された製品は存在しない。

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