この企画は2017年~2019年まで幹事長を務められていた尾松孝茂先生(千葉大学)の発案によるものです。現在,フォトニクスニュースというのを年に3回出していて,最新のフォトニクス分野の情報をお届けしてしていますが,まずはそれに掲載された記事を英文化し,さらに著名な方の招待論文などを掲載することを考えています。これによって知名度を上げ,インパクトファクターという,評価指数の高い有力な雑誌に育てていくという計画を考えております。
もう一つ,これは今後のレーザー分野に対する期待についての話にも関わることかも知れませんが,博士課程の学生が減っているというのが,日本の社会問題として挙がっています。世界的に見ても日本では,その現象が大きいと新聞でも取り上げられていると思います。これは,光とかレーザー分野でも同様のことが起きていると考えています。長期的に見て危惧されるのは,この分野の衰退につながってしまうことです。博士課程の進学率の向上に,フォトニクス分科会でもぜひ貢献できないかということを考えています。
これに関しては社会的に解決すべき問題ではありますが,フォトニクス分科会としては,例えば,ワークショ ップや若手の交流を目的とした泊りがけの研究会の場に,若手の博士取得者で,現在活躍されている,ロールモデルとなるような人に来てもらい,講演をしてもらうといったことを考えています。
─光・レーザー技術への期待についてお話いただけますでしょうか。
私が研究のメインとしているファイバーレーザーに関して言えば,他にはないレーザーを開発したりできるので,若い人が創意工夫やアイデアを試すことができ,非常に良い研究ではないかとないかと思います。
一方,フォトニクスを基軸とした技術革新としては,レーザー核融合があります。また,量子コンピュータというのも,光を用いたものがまた見直されて研究が盛り上がってきたところだと思います。加えて,ナノフォトニクスという分野がすごく盛んに研究されていて,特にフォトニクス分科会では,けっこう新しい光現象が出てきたりしていますので,技術革新につながるものと期待しています。
応用という面ではレーザー加工やバイオイメージングが挙げられます。新しいレーザー技術でかなり進化してきておりますので,この分野が今後は大きな技術革新につながっていくものと思っています。この分野は融合分野だと思いますので,多くの分野が連携・協力し,互いに刺激を与えながら,融合技術を開発していくという,そういった中で革新的な光技術が生まれ,さらに発展を遂げていくと期待しています。
─2023年1月18日~20日までレーザー学会学術講演会第43回年次大会の開催が予定されていま
す。先生は実行委員長ということで,年次大会を控えて意気込みをお願いいたします。
来年の年次大会は三年ぶりの現地(リアル)開催となります。会場はウインクあいち(名古屋)で,駅前の非常にアクセスのいい会場で開催いたします。
今回,委員の皆様のご尽力のおかげで,過去最多の投稿が集まり,過去最多の講演件数となっています。企業展示(レーザーソリューション)も上限に達しているということで,大変盛況な会になる見込みです。
年次大会ではフォトニクス分科会の共催企画も含め,12件のシンポジウムの開催が計画されています。また,感染症対策も万全に懇親会も開催する予定ですので,ぜひ,名古屋にお越しいただいて,久々に現地開催の良さを経験していただけたらと思います。とにもかくにも学会の良さを再認識していただくことを願っています。◇
(月刊OPTRONICS 2022年11月号)