愛知県安城市に事務局を置く『中部レーザ応用技術研究会』は1990 年5月14日に発足して以来,中部地区を中心にレーザー技術の発展に貢献している。現在会長を務めているのは沓名宗春氏で,名古屋大学工学研究科教授を経て最新レーザ技術研究センターを設立し,代表取締役を務めている。
そこで今回,会長の沓名宗春氏,副会長の坪井昭彦氏(光産業創成大学院大学・副学長),同じく副会長の武田晋氏(レーザーライン・代表取締役社長),幹事長の前田利光氏(前田工業・代表取締役社長)に中部レーザ応用技術研究会の活動の現状と今後,レーザー応用技術の将来などについて話を聞いた。
中部地区は言わずもがな自動車産業を中心とする日本でも有数の工業地帯となっており,その中においてレーザー応用技術の導入率は最も高いと言われている。中部レーザ応用技術研究会は,こうした地域産業の特性に着目し,生産技術としてのレーザー利用を促進するための情報発信などを中心とした活動を行なっている。
─まず,中部レーザ応用技術研究会の設立の目的について教えていただけますか?
沓名宗春(以下:沓名):私は川崎重工業に10年間勤めていましたが,退職する約2年前から,会社がそれまでの電子ビーム溶接だけでなく,レーザー溶接にも取り組むということになり,レーザー加工に関する調査を担当しました。特に川崎重工業は重機械に加えて,造船もやっているものですから,その頃ちょうどアメリカのAVCO社が出力15 kWのCO2レーザーを開発していたということもあり,当時の上司が「それは面白い」と興味を持ったこともあって調べました。
沓名宗春(以下:沓名):私は川崎重工業に10年間勤めていましたが,退職する約2年前から,会社がそれまでの電子ビーム溶接だけでなく,レーザー溶接にも取り組むということになり,レーザー加工に関する調査を担当しました。特に川崎重工業は重機械に加えて,造船もやっているものですから,その頃ちょうどアメリカのAVCO社が出力15kWのCO2レーザーを開発していたということもあり,当時の上司が「それは面白い」と興味を持ったこともあって調べました。
沓名宗春(以下:沓名):私は川崎重工業に10年間勤めていましたが,退職する約2年前から,会社がそれまでの電子ビーム溶接だけでなく,レーザー溶接にも取り組むということになり,レーザー加工に関する調査を担当しました。特に川崎重工業は重機械に加えて,造船もやっているものですから,その頃ちょうどアメリカのAVCO社が出力15 kWのCO2レーザーを開発していたということもあり,当時の上司が「それは面白い」と興味を持ったこともあって調べました。
ただ私は事情により,会社を退職することになり,その後は名古屋大学に勤めることになりました。名古屋大学では,主にレーザー加工に関する研究を行ないました。後に最新レーザ技術研究センターを設立し,レーザーロール溶接やレーザーピーニング,CFRPレーザー加工などの技術や装置の開発を手掛けています。
1990年頃になりますが,名古屋地域にも大阪や東京のように,レーザー研究に関する情報交流ができる場が必要なのではないかと強く思うようになりました。特に自動車の生産量がダントツであり,多くのレーザーが使用されている地域にも関わらず,研究会がないのはおかしいじゃないかと思っていました。そこで中部電力 電気利用技術研究所やトヨタ自動車,三菱電機に相談して発起人になってもらい発足したのが,中部レーザ応用技術研究会です。
設立年月日は1990 年5月14日です。設立後は年に3, 4回の研究会を開催したり,他研究機関とのコラボレーションも行なったりしていました。やはり活動を通じて大事なのは,人との交流と情報収集です。レーザーという最新技術を取り入れるには,人と情報が必要と考えています。そのようなことで活動方針を決め,研究会をスタートさせたということであります。
─1990年に立ち上げられたということですが,現在の会員数,また具体的な活動について教えて
いただけますか?
沓名:現在(取材時点)は個人会員が29名,団体会員が28社,名誉会員が8名,推薦会員が8名,学生会員が1名です。主な活動としては,年に3回の研究会に加えて,名古屋市が主催しているTECH Biz EXPOに併設して『名古屋レーザフォーラム』という講演会を年に1回行なっています。このフォーラムはその時々のトピックを選定して実施しているものですが,近々では2023年2月8日に名古屋市中小企業振興会館・吹上ホールにおきまして,『最新のレーザ加工技術の進展』※をテーマに開催する予定です。
会期:2023年2月8日(水)
会場:名古屋市中小企業振興会館・吹上ホール(TECH Biz会場内)
プログラム:【基調講演】電気自動車および電池製造に応用されるレーザ加工技術 Alexander Olowinsky氏(フラウンホーファー研究機構レーザー技術研究所・溶接切断研究室部長)▼高出力半導体レーザによる新しい展開Martin Weiler氏(レーザーライン・戦略的アカウント部長)▼6軸多関節ロボットを用いた高精度レーザ加工 和泉貴士氏(ファナック・ロボット応用技術本部・応用技術二部・レーザ推進課長)▼DBC(デュアル・ビーム・コントロール)ファイバーレーザによる厚板切断革命 小池英夫氏(小池酸素工業・代表取締役社長)▼IRファイバーレーザーによるスパッタレス溶接および溶接品質モニタリング技術 菊地淳史氏(IPGフォトニクスジャパン・ジ ェネラルマネージャー)▼UWのEV用電池製造設備とレーザ応用加工 千國達郎氏(UW JAPAN)▼車体の軽量化に貢献するレーザ接合技術の開発 長谷川慎一氏(ダイヘン・技術開発本部・接合技術開発部・課長)