高付加価値加工を支えるレーザー装置・技術を提供する

ドイツに本社を置き,工作機械・レーザー技術などを手掛けるトルンプの日本法人は昨年,設立45周年を迎えたのを機に,マシン事業部・事業部長の高梨真二郎氏の社長就任を発表した。
高梨氏は海外輸入商社から大手精密機械器具メーカーを経て,2020年にトルンプに入社。新型コロナウイルス禍を契機とした市況の変化にいち早く対応すべく改善・改革を実施し,業績伸長に貢献してきた。今回,高梨氏に日本法人の経営者という立場から,同社事業の現状と今後などについて話を聞いた。

─最初に,高梨社長のキャリアについて振り返っていただき,お話をお聞かせいただけますでしょうか?

私は大学を卒業後,海外とつながりのある仕事をしたいという思いがありましたので,スイス系の輸入商社に入社しました。その会社は非常に歴史が長く,横浜に最初にガス灯を点けるのを手掛けた会社です。また,シルクの輸出業においても有名でした。

入社した当時,その商社はブランド時計を手掛けていたこともあり,その事業に携わりたいと考えていましたが,海外製の測量計測器の国内営業を任されました。

海外を飛び回る取引先のメーカーの方たちと緊密なコミュニケーションを取る中で,私も海外で仕事をしたいという意欲が湧き,精密機械器具メーカーに転職し,社内向けカメラ用レンズなどの検査装置を協力会社に販売する事業に携わることになりました。

当初,検査装置は社外販売をしていませんでしたが,その後,外部の企業にも販売するようにもなりました。そのようなお客様は次第に工場を海外に移していきましたので,その要望に応える形で,当時進出が多かった中国に事務所を置き,営業やサービスを始めました。

当初は,日系の企業がビジネスの中心でしたが,台湾の企業や中国のローカル企業にも販売が拡大するにつれて拠点も増えていきました。その後,お客様が中国から東南アジアにシフトする動きもあり,タイのバンコクに事務所を設け,東南アジア全域をカバーしていました。

2015年頃に,再び中国に異動となり,計測機器だけでなく,顕微鏡や非破壊検査装置を販売することになりました。この時にアドミニストレーションの業務も担当することになり,バックオフィスの責任者の立場として中国エリアを見ていました。2017年からはオーストラリアのメルボルンに移り,ここでは事業部長という立場で,オセアニア地区を担当しました。

その後日本に帰国し,ご縁があって2020年9月にトルンプに入社しました。それまでとは事業分野が異なりましたが,マネジメントの経験を非常に高く評価してもらえたのではないかと思っています。トルンプの日本法人であるトルンプ㈱ではマシン事業部の事業部長となり,主に板金加工用工作機械の販売をマネジメントしていました。

新型コロナ禍のため,それまでのようなお客様のところへの直接訪問が難しくなった中,目標設定や,それを達成するための戦略などについて従業員達と対話しながら進め,組織を変えていくなど改善し,2年間のうちで,70%程度の売上げを伸ばすことができました。これまでの経歴や,入社後の取り組みが評価され,2022年9月に日本法人の社長に就任しました。

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