富士通は、量子コンピューティング研究センターの設立に向けて米ニューメキシコ州と協業を開始したと発表した。量子コンピューティング分野のハードウェア、ソフトウェア、アルゴリズム、理論にわたる先端研究を進めるとともに、人材の裾野を広げ、産業界、大学、政府、研究機関の連携を強化することを目的としている。

図:富士通とニューメキシコ州のMOU調印式
左から:マイケル パディラ上院議員、ロブ ブラック ニューメキシコ州経済開発局 長官、ミシェル ルーハン グリシャム知事、富士通 執行役員副社長 CTO、システムプラットフォーム担当 ヴィヴェック マハジャン、ジョージ ムニョス上院議員
同センターは、富士通が持つ高度な計算技術や同州の科学や研究エコシステムの連携を結び付けるものとしている。富士通は研究協力やインターンシップ、大学との連携などを通じ、学生、研究者、エンジニアが量子関連分野に参画する機会を支援する。
同州は量子関連事業の設立・拡大を支援するため、1億5,000万米ドルの拠出を表明している。両者は協業を通じて、専門人材の雇用創出や育成機会の拡大、高度な技術を持つ人材や民間投資の誘致につなげる考え。
富士通は、サンディア国立研究所、ロスアラモス国立研究所、ニューメキシコ大学、ニューメキシコ州立大学などとの科学・学術機関の強みを活かした連携の機会を検討する。ニューメキシコ州立大学とは、2025年10月から、富士通の次世代CPU「FUJITSU-MONAKA」と、HPC分野の共同研究を行っている。
また、クオンタム・ニューメキシコ・インスティチュートと連携し、共同研究を広げる仕組みづくりや、量子コンピューターに関する研究を推進する。さらに、量子コンピューティング、量子シミュレーション、AI、従来型のHPCを組み合わせたハイブリッド環境で、FUJITSU-MONAKAを用いたHPCの役割を共同で検証する。
実用的な量子ワークロードの処理には、データの準備、大規模シミュレーション、最適化、制御、エラー緩和、検証といったタスクにおいて、従来型のシステムとの連携が欠かせない。一方、量子プロセッサは、その特性を生かせる計算に適用する。
こうした統合により、耐障害性の実現を見据えた技術進化を加速させる。応用先には、材料・創薬、製造、エネルギー、金融、物流などを挙げ、幅広い分野のアプリケーション開発を進める。両者は、将来の事業化に向け、量子コンピューティング研究と技術革新を支える長期的な基盤の構築を目指す。





