TOPPANホールディングス、アイシン、旭化成、ソフトバンク、AGC、DICの6社は、量子コンピューターとAIを組み合わせた材料開発基盤の共同研究を2026年度から2028年度まで実施する(ニュースリリース)。研究提案がNEDOの補助事業に採択され、6社で共同研究に関する協定書を締結した。

ディスプレイやセンサー、次世代バッテリーの開発には、新たな材料の探索と開発効率の向上が求められる。材料候補を効率よく絞り込むため、過去の材料データをAIで分析する方法や、物理法則に基づいて計算するシミュレーションの活用が進んでいる。しかし、AIによる分析では、学習に使う高品質・高精度なデータを十分に集めにくい。一方、シミュレーションは、計算の精度を上げたり、扱う対象を大きくしたりするほど、必要な計算コストが増えるという課題がある。
そこで6社は、分子や電子の性質を従来のコンピューターより効率よくシミュレーションできる可能性がある量子コンピューターに着目した。ただし、現在の装置には、量子ビットの数や、計算中に生じる誤りなどの制約があり、単独で大規模な計算を行うことは難しい。このため、量子コンピューターに従来の計算手法やAIを組み合わせ、計算規模とコストなどの制約を緩和を目指す。
研究では、まず、幅広い材料分野を対象に、量子計算を適用できる範囲を調べる。次に、量子計算とAIを統合する技術を開発し、シミュレーション結果に基づいて材料を合成して性能を測定する。実験結果とシミュレーション結果を比較し、その差を計算手法の改善に反映することで、予測精度と材料開発における実用上の効果を確かめる。
各社は役割を分担する。まず、TOPPANホールディングスは添加材料を対象に、量子コンピューターと従来の計算手法を組み合わせた方法や、AIとの統合技術を検証する。ソフトバンクは量子コンピューターとスーパーコンピューターを連携させ、材料開発に必要なデータの生成と、AIによる活用技術の開発を担う。AGCは光学硝材などの無機材料と電子材料などの有機材料を扱い、材料探索や設計に役立つ指針の構築を目指す。DICは色材や半導体材料について、合成前に重要な材料の性質を予測する研究手法を開発する。また、アイシンは超電導材料、旭化成は電解液や電極、高分子材料などで適用可能性を調べる。
今後は量子計算やAIに関するデータと実験データを統合し、特定の材料にとどまらず、幅広い材料分野で活用できる開発基盤の構築につなげる。





