富士通は,IOWN構想の実現に向けて,既存光ネットワークの信頼度を容易にアップグレードできるディスアグリゲーション型光伝送ソリューション「FUJITSU Network 1FINITY T250」を開発し,2024年5月14日より提供開始したと発表した(ニュースリリース)。
現在APNによる光伝送を活用した様々なユースケースの検討が進められているが,例えば送電線などの架空地線を活用した光伝送(OPGW)は,経済性や保守点検の作業性に優れる一方で,落雷,電磁干渉といった外部環境変化による信号エラーのリスクを伴う。
さらに,通常の光ファイバー網においても,遠隔医療におけるマニピュレーションや,送電システムの監視網などの光ファイバー網においては,常時,強固な高信頼性と低遅延が求められており,ネットワーク機器の偶発的な故障は,サービスに多大な影響を及ぼす可能性がある。
同社は,こうした課題を解決するため,独自テクノロジーであるネットワークの遅延や揺らぎを可視化し制御する定量遅延技術および無瞬断で光伝送装置のノード間をつなぐパスを切り替える技術を搭載した光伝送ソリューションの開発を進めてきた。
このソリューションは,光伝送装置のノード間をつなぐパスごとの遅延を測定し,パスごとの遅延差がゼロになるように遅延量を制御することでネットワーク全体のレイテンシ(応答時間)を揃えることで,離れた拠点間でのリモートコンサート,ゲーム対戦といったユースケースにおける地理的要因によって発生する時間ズレの解消,公平性を担保が可能だという。
また,光ネットワークの拠点間の遅延時間を測定しログとして出力する。これにより,その測定結果に基づき,1マイクロ秒単位でパスの遅延時間を制御することができるという。
さらに,ネットワーク機器のオープン化を前提にした1RUの筐体サイズで,既存の光ネットワーク構成に対して無瞬断切り替え機能を容易に追加できるディスアグリゲーション型に対応している。
既存の伝送装置にダイレクトで接続が可能なOTU4インターフェースを有し,光信号を送受信する利用中のトランスポンダのクライアントに接続することで,既存ネットワークを高信頼性ネットワークにアップグレードできるとしている。
同社は,災害時のデータセンターや通信局舎の冗長回線への対応,また遠隔医療やリモートコンストラクションをはじめとする遠隔制御などの高信頼性サービスをより安全につなぐレジリエントな光ネットワークインフラを構築し,これらの分野におけるサービスの信頼性と品質の向上を目指すとしている。