矢野経済研究所は,マイクロLED及びミニLEDディスプレー世界市場を調査し,用途別の市場動向や将来展望を明らかにした(ニュースリリース)。
それによると,2024年のミニLEDディスプレー世界市場(出荷ユニット数量ベース)は,前年比123.2%の1,812万2,000台(Units)になると予測した。ミニLEDディスプレーパネルのアプリケーション(用途)はタブレットを中心に搭載されてきたが,近年ではTVセット(High-End TV)向けの需要が急増しているという。
2024年にはミニLEDパネルを搭載したTV市場は700万台(Units)を越えて,OLEDパネルを搭載したTV市場を超える見込み。一方で,Appleのタブレット向けディスプレーでは,ミニLEDパネルからOLEDパネルへの切り替えが本格化しているため,今後,ミニLEDディスプレー市場はTV向けが市場成長の主役となり,リードしていくと予測した。
マイクロLEDディスプレー世界市場(同ベース)は,2024年に前年比297.6%の24万4,000台(Units)と予測した。マイクロLEDディスプレーは3インチ以下の小型電子デバイス,スマートウォッチ(SmartWatch)向けなどが順調に拡大していくものの,AppleのSmartWatchへの搭載予定が2026年頃から2027年以降となる見通しで,市場の成長時期は若干遅れる見込みだという。
また,AR/VR(拡張現実/仮想現実)端末機器向けではAR端末を中心に採用が本格化するため,今後のマイクロLEDディスプレー市場は主にSmartWatchやAR/VR端末向けを中心に成長を見込んでいるとしている。
今回の調査で注目した,現在発売されているAR/VR端末機器は,ほとんどが従来型の超小型LCDディスプレーパネルを採用しているが,高輝度で低消費電力なLEDoS(LED on Silicon)のマイクロLEDディスプレーは,室内だけでなく室外でも透明グラスに画面を表示するAR機器に適したディスプレーとなってる。そのため,AR端末機器市場の成長と共に,AR端末に搭載されるLEDoSのマイクロLEDディスプレー比率が大幅に拡大していくと予測した。
マイクロLEDディスプレーはAR/VR端末機器向けパネルでは,マイクロOLED(OLEDoS:OELD on Silicon)と競合しているが,マイクロOLEDはヘッドセット型のVR端末に適しているアプリケーションであり,透明グラスに画面を表示する眼鏡のようなAR端末向けではマイクロLEDディスプレーは優位性があるという。
将来展望については,ミニLEDディスプレー世界市場はHigh-End TV向けパネルが市場を牽引し,2031年の同市場は5,796万4,000台(Units)まで拡大すると予測した。
また,マイクロLEDディスプレー世界市場は,AR/VR端末機器とSmartWatchの2つのアプリケーションへの搭載拡大が市場成長の原動力となり,2031年のマイクロLEDディスプレー世界市場は2,138万台(Units)まで拡大すると予測している。