東大,培養液の加温で植物工場の増収の可能性を発見

東京大学の研究グループは,人工光型植物工場の養液栽培において,培養液温度(根圏温度)が植物の代謝や生育に与える影響を調査し,タンクの培養液を室温に対して3℃加温することによって,植物の生育促進のみならず,カロテノイドやビタミンCなどの機能性成分が向上することを明らかにした(ニュースリリース)。

これまでの研究グループは,培養液を室温より数℃高くすることで,植物の生育と品質が向上する可能性を見出している。そこで,様々な室温で栽培したレタスにおいて,培養液を3℃加温することによる,植物成長や機能性成分への影響を調査した。

実験材料として,レッドリーフレタスを使用した。室温17℃,22℃,27℃,30℃の4条件下で,循環式の養液栽培システムにおいて,培養液を 3℃加温する処理区と加温しない処理区を設けてレタスを栽培した。

研究では,カロテノイドやビタミンCなどの機能性成分の定量の他に,植物におけるミネラル元素の取り込みを明らかにするためイオノーム解析を行ない,また,代謝物の変化を網羅的に明らかにするためメタボローム解析を行なった。

その結果,4つの全ての室温条件において,培養液を3℃加温することによって,地上部乾物重と地下部乾物重が有意に増加することが分かった。培養液を3℃加温することによる地上部乾物重の増加率を調べたところ,室温17℃では23%,室温22℃では 31%,室温27℃では18%,室温30℃では14%増加していることが分かった。

また,培養液の加温によって,クロロフィル,カロテノイド,アスコルビン酸(ビタミンC)などの機能性成分が向上することも明らかになった。さらに,培養液を加温することで,根と葉の両方における可溶性タンパク量や各種ミネラルも増加していた。

特に,葉のマグネシウムや鉄などのミネラルが増加していることから,培養液を3℃加温することによって体に良いミネラル成分も増加していた。また,メタボローム解析の結果から,根ではグルタミン酸やアスパラギン酸などアミノ酸の合成の起点となるアミノ酸が増加していることから,培養液を3℃加温することが根においてアミノ酸の生成を促進している可能性が考えられるという。

これらの結果から,培養液を3℃加温することで,根からの養分の取り込みが促進され,かつ,根では各種アミノ酸含量が増加しており根の代謝が活性化されることによって,養液栽培レタスの生育と機能性成分が向上することが明らかになった。

研究グループは,植物工場において,作物の生産性と機能性成分を増産させる新しい栽培法の開発に貢献することが期待されるとしている。

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