秋田県立大,野菜の根への光照射が成長に影響と発見

秋田県立大学の研究グループは,野菜の「根」に特定の波長を照射することで,野菜の成長や栄養成分含有量に影響を与えることを発見した(ニュースリリース)。

一般に,植物は根に光が当たらない状態で成長する。葉や茎の生長や成分に対する光強度や波長照射の影響は明らかになりつつあるが,根に対する波長照射の影響はほとんど不明だった。

そこで研究グループは,水耕栽培した小松菜の生育とイオン・ビタミン含量に及ぼす7波長の光照射の影響を調べた。その結果,940nmの光照射は対照区と比較して根の乾物重を有意に増加させたが,他の光照射は葉,茎,根に影響を与えなかった。

特定の照射波長において,葉および茎中のカリウム,マグネシウム,カルシウム,ホウ素,マンガン,亜鉛のイオン含量は,対照と比較して有意に増加した。葉と茎のイオン含量の変化は,ホウ素を除いて根のそれと一致した。

さらに,ビタミンについては,葉および茎中のニコチン酸,ピリドキシン,リボフラビン,アスコルビン酸,フィロキノンの含量は,対照と比較して照射下で有意に増加した。

一方,葉と茎の各ビタミン含量の傾向は根のそれと一致しなかった。また,照射によりイオンやビタミンの含量が対照に比べて有意に減少する場合もあったという。

この研究は,普段光の当たらないところで生育しているコマツナの根に特定の波長の光を当てると,直接光が当たった根だけでなく茎葉部(地上部)の成長や栄養成分含有量に影響を与えるということを明らかにしたもの。

これらの結果は、根、葉、茎に光受容機構が存在し、異なる波長の根への照射が小松菜の成長と栄養含量に影響を与えることを示しているとする。

研究グループは,基礎研究として根に特定波長の光を当てることが,どのようなメカニズムで成長や栄養成分含有量に影響を与えているかを明らかにする必要があるとして,現在代謝物質や遺伝子発現の網羅的解析手法を用いてこのメカニズムを明らかにする研究に取り組んでいる。

また,この手法の植物工場などの施設栽培への応用を期待している。現在は茎葉部(地上部)へ特定の色の光を照射して生産性や栄養成分含有量を高める栽培方法が行われている場面があるが,これに合わせて根にも特定の色の光を照射することで,さらに生産性や栄養成分含有量を高める栽培ができるのではとしている。

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