三菱ケミ,完全人工光型植物工場を導入

三菱ケミカルグループは,三菱ケミカルアクア・ソリューションズ(MCAS)の完全人工光型植物工場「AN(アン)」が販売開始後初めて,福井県おおい町に建設予定の植物工場に導入され,2023年10月より栽培を開始することを発表した(ニュースリリース)。

気候変動の影響を受けにくい植物工場は,農産物の安定供給の手段として,近年ますます注目を集めており,また,コロナ禍でテイクアウトやデリバリーなどの中食利用が増えたことにより,安定した品質で,菌や異物が少なく洗浄等の手間が削減できる野菜へのニーズが増加しているという。

「AN」は,MCASがクレオテクノロジーと共同開発した完全人工光型植物工場システム。「AN」は「Agriculture Next」から命名されたもので,太陽光を用いずに閉鎖された空間で,人工光,空調設備,培養液の制御が可能な水耕栽培等により,計画的な周年生産を行なうことができる次世代型の閉鎖型植物工場システムだとする。

このシステムでは定植した苗が栽培室内を自動で循環しながら成長し,作業者が栽培室内に入らずに収穫まで行なうことができるため,作業者の負担や異物の混入リスクを低減。

また,レタス(フリルレタス,バタビアレタス,ロメインレタス等)に最適な栽培環境を自動的に制御でき,大きく,葉肉が厚く,シャキシャキとした高品質レタスの安定栽培が可能で,業務用やカット野菜などに適しているとする。さらに,この工場で栽培されたレタスは菌数が102~103/gであり,菌数の変化,バラつきが少ない(菌数は検査会社による測定値)という。

「AN」が初導入される植物工場は,本社を大阪市に置くタガヤスが,福井県おおい町に建設予定の大型植物工場。タガヤスが野菜の生産・販売などの事業運営を行ない,MCASはタガヤスに対し,種子・培地・液肥の販売,栽培指導を行なうとしている。

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